2人は1994年に結婚した
「せめて子供がいたら」
体の不調や身近な人間の他界など、上島さんを追い詰めた出来事は誰にでも起こる可能性があるものばかりだ。そして残された人間は、「自分は何ができたのか、何をすべきだったのか」と、抱えきれないほどの後悔を背負う。
「いま思うと、病院に連れて行くのではなく、病院から先生に来てもらう手もあったのかもしれません。『こうしたら、あんなことにならなかったかな。ああ言っていれば違ったかな』とか、『たられば』をずっと考えてしまいます」
亡くなった直後は、身のまわりの全てに現実感がなく、夫がこの世にいないことが信じられなかった。しかし通夜の日、数日前まで上島さんが使っていたハローキティの柄の小さな茶碗にごはんをよそっているとき、「もうこのお茶碗で、竜ちゃんがごはんを食べることはないんだ」と実感すると涙が止まらなかった。こぼれる涙もそのままに、広川は亡き夫のために枕飯を用意した。
上島さんの葬儀告別式は、昨年5月14日に都内の斎場で営まれた。ダチョウ倶楽部の肥後克広(60才)や寺門ジモン(60才)はもちろん、加藤茶(80才)に出川哲朗(59才)、そして有吉弘行(49才)に土田晃之(50才)をはじめとした「竜兵会」のメンバーほか大勢が駆けつけた。上島さんが好きだったピンク色の花が飾られた祭壇の前で、大の男たちが声をあげて泣いていた。
実は通夜の前日、弔問には意外な人物の姿があった。嵐の大野智(42才)だ。上島さんとは、2010年放送のドラマ『怪物くん』(日本テレビ系)で共演して以来、親しくつきあっていた。上島さんは、20才も年下の大野を「仕事に妥協しないし、誰に対しても丁寧に接する。本当にすごい男だ」と尊敬し、大野と連絡を取りたいがために、スマホのショートメールの送り方を覚えるほどだった。
「大野くんは数少ない友人でした。2人で静かにお酒を酌み交わして、仕事や釣りの話をしていましたよ。『俺が竜さんに釣りを教えてやるんだ』と言ってくれていました。弔問に来た大野くんは、憔悴しきった表情でした。4時間くらいずっと竜ちゃんのそばにいてくれて、時々何か話しかけている様子でした」
納骨式が行われたのは、奇しくも結婚記念日だった。上島さんと広川が結婚したのは、1994年10月22日。後輩芸人の広川に上島さんが交際を申し込み、3年の交際期間を経てゴールインに至った。28年連れ添った妻の目から見て、上島さんはどんな人物だったのか。
「テレビだと裸で走り回る陽気なおじさんですが、もぉ?気難しい! 気分がコロコロ変わって、『竜ちゃんの心と秋の空』です。でもキュートな人ではありました。あと家では本当におとなしくて、そういうところも好きだったな」