「きっかけは安倍元首相殺害テロ」

「ハワイまではどれくらいかかったのですか」──1月10日、横浜・みなとみらい地区のJICA横浜海外移住資料館を訪れた秋篠宮さまはハワイにわたった移民の歴史を、こう質問された。

 日本から移住した人々の子孫である日系人の苦難の歴史に寄り添い続ける皇室。資料館にはこれまでも天皇・皇族方が度々訪問されてきた。「実は横浜・本牧の名勝『三渓園』ではよく、高円宮妃久子さまが写真展を開催されています」と元神奈川県警幹部は話す。

 葉山御用邸もあり東京と隣接する神奈川の県警本部に4月、警衛警護室が新設された。

「きっかけは昨年の安倍晋三元首相殺害テロです。テロを受け警察庁は警衛と警護の体制強化を全警察本部に指示しました。この方針に従って皇室の方々のご来訪が多い神奈川の警察としても組織改編が必須となったわけです」(前出の元神奈川県警幹部)

 警衛警護室が設置されたのは警備部公安第2課の中。本来は右翼の捜査を担う課だが、少人数の警衛係と警護係が置かれて専門外の警衛と警護も一応手掛けていた。このため同課は小室圭さんの横浜の実家も警備を担当。警衛・警護強化の一環で「係」から増員のうえ課内に「課」に準ずる「室」が新たに置かれたのだ。

 一方、天皇皇后両陛下が毎年足を運ばれる4大行幸啓に合わせて“臨時”の警衛専門チームが小規模警察本部に設置されるケースも慣例化。岡山県警は来春の全国植樹祭開催に向け警備部に警衛対策課を置いている。

「今は警護に注目が集まってるけど、平成の初めのソ連解体やベルリンの壁崩壊で共産主義や社会主義が下火になり極左の反天皇制活動も沈静化したんで、警衛の現場も緊張感を失いつつあったかもしらんね。数年前に悠仁さまの学校で机に刃物を置かれた事件は、それを象徴してると言われたら反論できんよ」と旧知の山梨県警OBは自戒を込めて語る。一方で「側衛官を志して皇警に奉職した人らの士気の高さは一切変わっとらんはず」とも話す。

 皇居内の宮内庁庁舎に徒歩で向かっていた時、皇宮護衛官の男性と言葉を交わしたことがあった。男性に「ドラマの舞台となることも多い警視庁や、地元の警察に入る選択肢もあったのでは」と尋ねると、九州出身だという男性は、こう言った。

「実家のご近所さんや親戚の人たちが『日本のために頑張れ』って応援してくれますし、親孝行になるかなと思ったんですよね」

【プロフィール】
大島真生(おおしま・まなぶ)/1968年東京生まれ。新聞記者。早稲田大学政治経済学部卒業。産経新聞で警視庁や警察庁、宮内庁などの担当を歴任。著書に『公安は誰をマークしているか』『愛子さまと悠仁さま』『特捜検察は誰を逮捕したいか』など。

 

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