1974年、営業を始めた新幹線の食堂車で食事をする人たち。東海道新幹線ひかり25号車内(時事通信フォト)

1974年、営業を始めた新幹線の食堂車で食事をする人たち。東海道新幹線ひかり25号車内(時事通信フォト)

「ハニーズバーの全店閉店は経営改善の取り組みの一環です。幅広い業種・業態の整理、事業性を検討した結果、ハニーズバー事業の撤退が決まりました」と説明するのは、JR東日本クロスステーションフーズカンパニー総務部の担当者だ。

 全店舗閉店がアナウンスされた時点でも、ハニーズバーは都内の主要駅で営業を続けている。それらの店を観察してみると、閑古鳥が鳴いているような状況ではない。決して経営不振による撤退ではなく、広報担当者が言うように「経営改善の取り組みの一環」であることが窺える。

 それでは、ハニーズバー撤退後にどんな店が新たに出店する予定なのか? 担当者によると、「ハニーズバー撤退後にどのような店へと転換されるのかは決まっていない」という。また、オンラインショップや同じJR東日本系列のコンビニでハニーズバーの商品を販売する予定もないとのことだった。

 新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年、鉄道各社は大幅な減収減益となり、事業再編を余儀なくされた。特に、飲食関連の事業は各社とも見直しを急ぎ、小田急は2022年2月末に系列のベーカリーショップだったドンクの事業譲渡と店舗閉鎖を決定している。

 1872年に日本で鉄道が開業、1885年には宇都宮駅で日本初とされる駅弁が発売されて以来、鉄道とグルメは様々な形をとりつつ、ともに歴史を紡いできた。駅ホームでの弁当や飲料の販売から始まり、長距離移動にあわせて食堂車が出現し、列車の速度が速くなって駅停車時間が短くなると車内ワゴン販売が充実していった。2000年に輸送人数を増やすために東海道新幹線からも消えた食堂車だが、近年は豪華特別急行車両で復活している。

 新型コロナウイルスのための行動制限が完全になくなり、鉄道利用者は回復基調にある。それでも少子高齢化や在宅ワークの推進などによって、今後、鉄道利用者が右肩上がりに増える未来は考えにくい。将来に備えて、輸送そのものと直接、関わりがない分野についての再考は必要なことだろう。これらは時代の変化だと受け止めるしかないが、やはり鉄道は単なる移動手段ではなく、食でも車窓でも移動に愉しみを与えてくれるインフラであってほしい。

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