書籍『タローマンなんだこれは入門』は1970年代に小学館で発刊された「入門百科」シリーズをオマージュした
当時の本が復刻された設定のために、綺麗なものを劣化させる
2022年の放送を皮切りに、この1年間は、『TAROMAN」の歴史を振り返るドキュメンタリー『タローマンヒストリア』が放送されたり、「タローマンかるた」などの関連グッズや書籍版の『タローマン・クロニクル』(玄光社)、『タローマンなんだこれは入門』(小学館)が発売された。
「2冊の書籍の話はほぼほぼ同時に来ました。若干『クロニクル』のほうが先だったんですけど『タローマンなんだこれは入門』では『クロニクル』とは(内容を)棲み分けることは考えました。
もちろん、制作裏話的な本にして、資料をわたして編集の方に任せたら簡単だし、しっかりしたものができあがるんだろうなとは思ったんですけど、本編放映時に、1970年代の特撮作品という世界観に乗っかって喜んでくれた方たちになるべく楽しんでもらいたいという気持ち、そしてなにより、全部ウソで作ったほうが、自分が楽しいというのが一番大きいですね。結局、こういう本があったら僕が面白いっていう自分の思いですね」
『タローマンなんだこれは入門』(小学館)は、かつて同社から出版されていた子供向けの「小学館入門百科」シリーズの“復刻”という設定で、そのフォーマットをそのまま使っている。
「話を頂いたときにそれは絶対にやりたいなと。やっぱり2色刷りをやりたいと思って、さらに当時感を出すために、写植のズレとかも入れたいなと思いました。いま、フォントで打っちゃうと、どうしてもちゃんと綺麗に並んでしまうので、1個ずつちょっと微妙にずらしたり傾けたり文字を一部にじませたりして作りました。
描いたイラストも1回、版ズレを起こさせたり、綺麗になりすぎているものは、印刷したものをスキャンしたりして劣化させて荒らしていくみたいな。そういう作業を何回もしたりして、なるべく当時の本が復刻された風にしようって」
本文はもちろん、イラストも8割近くは藤井本人が描いたという。タローマンの絵描き歌や解剖図があったり、「スピードしょうぶだ!」と題して、タローマンや奇獣たちの速度を比較していたり、いかにも当時の図鑑にありそうなページが並んでいる。
「当時の本ってすぐスピードとかパワーとかを比較させようとしますよね(笑)。実は『入門百科』シリーズは、1970年代からありますが、若干新しいものが多いんですよ。小学館にはそれよりもうひとつ古い『なぜなに学習図鑑』っていうもうちょっと判が大きいサイズのシリーズがあるんですけど、そっちのほうが、よりめちゃくちゃというか、でたらめさみたいなものがすごい出ていて。その、勢いで突っ走ってる感じ、絵のテンションの高さとか、あらゆるところの濃い感じが楽しいなと思って、そのテイストもなるべく出したいなと思って描きました」