当時の印刷の風合いを再現している
樋口真嗣が「タローマン」に全力で乗っかった
今年8月に新たに放送された『帰ってくれタローマン』では、『タローマンヒストリア』(2022年12月放送)で樋口真嗣監督が語っていた“幻の18話”「捨てる主義のすすめ」が放送された。
「樋口さんにはちゃんとした台本を渡したわけではなくて、なんとなくこんなことを言ってください、みたいにお願いしたんです。たとえば「18話で奇獣の『重工業』が出てきて、それが好きだったって話をしてください」みたいに。そしたら樋口さんがノってくれて、ビルを掴んで、ビルでチャンバラするんですとか、アドリブで言ってくれたんです。それがすごい面白かったんで、そこからこれを実現したら面白いんじゃないかと思って作りました」
同番組では、未公開映像という体裁で劇場版『タローマン大統領』も放送。『タローマン大統領』では、画面のサイズも当時のテレビサイズの4:3から映画サイズに変わるこだわりようだった。
「ここで一旦終わりということで、特別な回みたいなのを入れたいなと思って入れました。画面サイズが急に変わったら、新鮮な驚きもあるかなと思って。撮影方法自体は基本的に一緒なんですけど、撮影のときにシネスコの画角でどう撮るか、その構図を作るのが楽しかったですね。あと元の4:3のときは、最終的にはビデオ画質まで落とすので、多少の粗があってもごまかせたのですが、映画(という設定)の場合はそれができないので苦労しました。1960年代後半から1970年代のゴジラ映画とか怪獣映画とかの世界観を出せるように意識しました」
『TAROMAN』の放送回のあらすじや登場人物の設定がまとめられている書籍『タローマン・クロニクル』には、公開された映画として『タローマン大噴火』と『タローマン大迷惑』が紹介されているが、そこに『タローマン大統領』はない。
「なにか裏切りを出したいなと思って。やっぱり、『なんだこれは!』って思わせたいっていうのがあって、紹介していない映画を作ろうと思いました。全部タイトルに『大』という文字が入っているのは、昭和のシリーズっぽさが出るかなと思って」