高校3年生で高校日本代表を“飛び級”し、ジュニアジャパンに選出。右端が姫野
最初の大怪我は、大学1年の夏。初めて招集された日本代表候補の菅平合宿で、左足の甲を骨折し、3度もメスを入れるほど深刻に。大学時代のチームメイトが語る。
「1年半も走ることができない状態で、その間に彼はひたすら体作りに励んでいました。ウエイトトレーニングと食事で、半年ほどで体重が20kgくらい増えたと言っていたかな。
ただ、一気に体重を増やしすぎたことで、かえって怪我をする原因にもなってしまった。その対策として今後は体重を絞り、夜は小一時間もかけて入念にストレッチを行なうようになった」
徹底的に体を鍛え上げた結果、ベンチプレスは180kgほどに。チームメイトは「ウエイトトレーニングの天才」と舌を巻いていたという。
部屋に大量の張り紙
姫野がキャプテンの道を歩み始めたのは大学卒業後、トヨタ自動車ヴェルブリッツに入団した直後の2017年5月のこと。
社会人ラグビーの名門・トヨタは長く優勝から遠ざかり、その前年にはトップリーグの8位に低迷。そこでチーム再建のため、南アフリカ代表を率いてW杯で優勝した実績のあるジェイク・ホワイト氏をヘッドコーチに招聘した。
「ジェイク氏が正式に指揮を執り始める前に、トヨタの練習を視察に来た。その際に、いきなり姫野をキャプテンに指名したんです。理由をジェイク氏に聞くと“彼は帝京大学時代、ずっと優勝している。負けを知らない選手をキャプテンにするんだ”と話していました。
私もラグビーのコーチ経験がありますが、チームの改革は漸進的にやるのではなく、一夜でやったほうがいい。トヨタ改革の象徴として、姫野がキャプテンに指名されたのです」(藤島氏)
かくして姫野のキャプテン人生が始まったが、入団して数か月の“ひよっこ”の言うことを聞くチームメイトはいない。自分のふがいなさから、人知れず涙を流す夜もあったという。
