ライフ

諺が教えてくれる「ニュースの本質」 2023年度上半期を総ざらえ

対応が後手後手に回った岸田政権(時事通信フォト)

対応が後手後手に回った岸田政権(時事通信フォト)

 報道がわれわれの生活にもたらす影響は大きい。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 昔から言い伝えられ、広く親しまれている諺は、私たちにたくさんのことを教えてくれます。世の中の出来事や話題に関して、おなじみの諺を当てはめてみたらどうなるか。きっと本質が浮かび上がってきたり、より多くの教訓を得たりできるに違いありません。

 2023年度も半分が過ぎました。区切りのいいタイミングということで、2023年4月~9月のニュースを振り返りつつ、関係ありそうな諺を当てはめることで、それぞれを深く味わってみましょう。

 政治の世界で目立ったのが【親の心子知らず】な出来事。5月下旬には岸田文雄首相が、長男で首相秘書官を務める翔太郎氏を交代させました。年末に首相公邸内で忘年会を開いて、親族と記念撮影をするなどしたことに批判が殺到。事実上のクビでした。ゴリ押しでポストを与えて一人前にしようとした「親の心」は、子には伝わらなかったようです。

 岸田首相自身も3代目の世襲議員ですが、閣僚だけでも河野太郎デジタル相や加藤鮎子子ども政策担当相など、世襲議員がゴロゴロいます。政界全体を見ても、日本の世襲議員の多さは半端ではありません。その方々は、はたして「親の心」を十分に知った上で活動しているのでしょうか。あ、でも、親にとっては自分の地盤を受け継いでくれることが最大の望みだったとしたら、十分に「親の心」を知っていることになりますね。

 6月には「LGBT理解増進法」が成立しました。これまでの差別の歴史を考えると大きな節目ではありますが、当事者や支援団体からは「当事者の声に寄り添っているとは言えない」「差別する側のほうを向いて配慮している」といった批判が寄せられています。まだまだ【帯に短したすきに長し】であることを意識して、引き続きいろんな立場の人が議論を続けることが大切と言えるでしょう。

 先日、岸田首相が10月から実施すると発表した「年収106万円の壁」への対策も、中途半端で【帯に短したすきに長し】だと批判されています。あれこれ打ち出している少子化対策は「帯たす」であるだけでなく、どうにもならないところまで来てあわてて手を打っているという点では、【泥棒を捕らえて縄をなう】の諺がピッタリでしょうか。

 7月に発覚したビッグモーターの大胆過ぎる不正行為と、しだいに明らかになった損保会社との持ちつ持たれつの関係は、まさに【朱に交われば赤くなる】を見せつけてくれた事例でした。お客の側は【餅は餅屋】と思って修理を任せていたら、まんまと【知らぬが仏】の状態に置かれていたわけです。

 混乱状態が続いているマイナンバーカードの問題は、旗を振ってきた河野太郎デジタル相にせよ岸田首相にせよ、誰からも「自分が責任を取る」という強い覚悟が感じられません。みんなが【後は野となれ山となれ】と思っているように見えます。2025年に開催されるらしい「大阪・関西万博」も、それに近い状況になっているでしょうか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン