“立ちんぼ”

歌舞伎町の個室焼肉店で取材に応じてくれたショウコさん(21才・仮名)

お姉さん、ごめんなさい警察です、現行犯逮捕です。

 まだうだる暑さが残る夏の日の夕方、取材場所である歌舞伎町の個室焼肉店に現れた女の子は、なぜか手に身長の半分はあろうかという大きな深紅のバラの花束を抱えていた。「どうしたんですか?」と聞くと「これ、担当(※指名しているホストのこと)にもらったんです!」と大きなラメに彩られた目を輝かせて、嬉しそうに答える。その様子はとても釈放されたばかりとは思えない。

 ショウコさん(21歳・仮名)は、元乃木坂46の白石麻衣に面差しの似た可愛らしい雰囲気の女の子だ。大きな花柄がプリントされたひらひらのロングワンピースに胸の下まである長い髪の毛をゆるく巻いている。取材を受けた動機について「いやぁ、いつまでもクヨクヨしてちゃいけないと思って!」と明かし、大好物だというユッケを食べながら屈託なく笑い、逮捕当日のことを話し出した。

「その日はいつもより稼げなくて。どうしよう、とにかくお客さんを捕まえなきゃ、って焦ってたんですね。そんな時にその“お客さん”を見つけたんです。本当に普通の見た目で。スーツとかでもなくて、顔も格好も『普通のおじさん』。慣れてない様子でキョロキョロしていて。とりあえず遊ばない?みたいに私から声をかけて、ホテルの前まできたところで『ところでいくらくらいなの?』と聞かれたので『一万五千円~かな』と答えたところで『お姉さん、ごめんなさい、警察です。現行犯逮捕です』って手錠をかけられた。覆面警官だったです」

 ショウコさんはあまりのことに呆然とし、取り乱し、号泣しながら連行されていったという。連行された警察署では5時間、ノンストップで泣き続けたという。「ショックだったんで……もうこれでお終いだなと思っていたので、この先のことはほとんど覚えていない」というが「手錠が硬くて、手に食い込んで、痛かった」ことだけは鮮明に覚えていると話す。

 ショウコさんが留置されたのは、新宿からは少し離れた都内の警察署。勾留期間は10日間に及んだ。

「最初の3日間は一人部屋。もう眠れなくて、やることといえば、本を読むか食べるかしかない。取り調べらしい取り調べもほとんどなかったから、勾留のストレスというよりは、とにかくヒマなのが辛かった。気が付いたら、エクステを抜いたり、剥がれかけてきたネイルを自分で剥いだりして身繕いしてました。無料でオフできた(ネイルを落とすこと)からお金が浮いて良かったなんて思ったり……(笑い)」(ショウコさん、以下同)

 退屈な留置所生活を一変させたのが、4日目から“同居”することとなった女性・レナさん(仮名)の存在だ。

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