桑田真澄ファーム総監督は次期監督の有力候補と言われる
岡本和真や吉川尚輝を抜擢して成長させた手腕
原監督の去就が不透明な状況にもかかわらず、来季の監督候補として“由伸待望論”はさほど高まっていないように見える。
「優勝できる監督は言葉で引っ張る力もある。かつて長嶋茂雄監督が報道陣に『松井が40本打てばメークドラマを実現できます』と言い続けてチームを乗せた例もあれば、中日の落合博満監督が選手に『能書き垂れるなら俺の成績を超えろ。そしたら能書きをナンボでも聞く』と鼓舞していたケースもある。今年、阪神・岡田彰布監督は選手に『四球はヒットと同じ価値がある』と重要性を説き、優勝した。名将は“勝つための言葉”を持っている。由伸さんは前回の監督時、このような言葉の力がなかったように感じます」(前出のNPB担当記者。以下同)
それでも、3年目の2018年には若手の岡本和真や吉川尚輝を抜擢して成長させた。翌年に復帰した原監督が連覇を成し遂げたのも、4番・岡本という軸があったからこそで、高橋監督の功績は大きい。
「若手を育てた点は大きく評価できます。ただ、今季の巨人は秋広優人や門脇誠が成長し、来季は優勝が求められる。その時、一度も優勝をしていない由伸さんに任せようという気運は上がってきにくい。前回の監督時はいきなりだったとはいえ、3年目になっても代打や継投で迷いがあるように見えた」
2018年、辞任発表時点では4位だったが、残り2試合に勝ってクライマックスシリーズに進出。第1ステージでヤクルトを下してファイナルステージに進んだものの、広島に敗れた。
「辞任決意で吹っ切れたのか、その後の采配は思い切りがあったように見えました。現役時代、初球からバンバン振っていった積極性が、采配にも出ていたように感じましたね。そのような由伸スタイルを貫けるのであれば、監督としても面白い。とはいえ、いきなり監督で復帰するよりもまずはコーチ、できれば二軍監督を経験すると幅が広がるでしょう。もし原監督が続投となれば、コーチ陣の入れ替えは必須ですから由伸さんの現場復帰はあり得ます。監督交代の場合も入閣の可能性はあるでしょう」
まだ48歳の高橋由伸氏。来季監督の可能性は低いと指摘されるが、いずれもう一度指揮を執るチャンスは十分あるのではないか。