芸能

謎すぎる芸人・タブレット純 フラリと入った居酒屋で「おばさん、日本語分かる?」と2つ間違えられる

奇人・変人・怪人でもある芸人タブレット純(イラスト/佐野文二郎)

奇人・変人・怪人でもある芸人タブレット純(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、謎すぎる芸人、タブレット純について綴る。

 * * *
 謎すぎるエンターティナー。奇人・変人・怪人でもある芸人。タブレット純。時に間違えてウォシュレット純とも呼ばれ、キャンドル・ジュンとも声を掛けられる。まさに時代が求めるキャラ、ジェンダーを軽々と超えるアクター。不思議すぎる経歴、知り合いの古本屋に店番で7年間(諸説あり)座っていた。その時ひたすら古いレコード、古い本を読み、1960年代1970年代のボーダイな芸能知識を身につけた(これが役に立ち、現在ラジオ日本の土曜日午後6時からたどたどしくなつメロを語っている)。

 何を思ったかあの和田弘氏に誘われ最後の“マヒナスターズ”の一員に。ムード歌謡なぞ歌っていたが、恩師和田が死去後、なんだかんだ近付いてきて気がつくと浅草東洋館の舞台に立ち“ギター漫談”のようなことをやっている。身体の線は細く本当に長い長髪。ある日浅草でも初めての居酒屋へフラリ入る。席に着くとお店のお兄ちゃんが恐る恐る近付きタブにひと言。「おばさん、日本語分かる?」

 後日タブレットしみじみと「店に入ってたった5秒間でふたつ間違えられた」だと。「おばさん」ではない。「日本語」は達者である。

 先日高座を見ていたら「ロックも勉強しなくちゃいけません。本日はサザンをお届けしようと思います」。客席拍手。タブがおもむろに歌い出す。“足手まといだから~~ッ”客席、薄く気付き出す。タブ「お聴き頂きました。森雄二とサザンクロスのヒット曲“足手まとい”でした」。森雄二なんていう名をフルネームできけるのはタブの高座だけだ。

 35年位前か、私が西新宿のマンションに住んでいる時、隣が森雄二氏だった。1階の飲み屋に一緒によく行った。そこへ玉袋筋太郎がよくのぞいた。私の家の真上がみうらじゅんの仕事場だった。一体どんなマンションなんだ? こんな縁で私が『足手まとい』のパート2の作詞をしてCDを出した事もある。たしか数年前、森氏は亡くなったのでは……合掌。

 関東の芸人のあとは関西の人、私が珍しく好きな大阪の人、桂雀々。久しぶりに会ったので「日本シリーズは関西対決だし盛りあがってんじゃないの?」「それがここへ来て谷村新司、財津一郎、もんたよしのりとたて続けに関西ですわ。今年は上岡龍太郎さんも笑瓶も私が仲良くさせてもらった関西人の訃報だらけで。何があかんのやろ?」「きっとそれは万博の呪いなんじゃない」「ほんまや」。12月10日雀々の会(渋谷・伝承ホール)私がゲストで開催。

※週刊ポスト2023年11月10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【スクープ】大谷翔平「25億円ハワイ別荘」HPから本人が消えた! 今年夏完成予定の工期は大幅な遅れ…今年1月には「真美子さん写真流出騒動」も
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《追突事故から4ヶ月》広末涼子(45)撮影中だった「復帰主演映画」の共演者が困惑「降板か代役か、今も結論が出ていない…」
NEWSポストセブン
江夏豊氏(右)と工藤公康氏のサウスポー師弟対談(撮影/藤岡雅樹)
《サウスポー師弟対談》江夏豊氏×工藤公康氏「坊やと初めて会ったのはいつやった?」「『坊や』と呼ぶのは江夏さんだけですよ」…現役時代のキャンプでは工藤氏が“起床係”を担当
週刊ポスト
殺害された二コーリさん(Facebookより)
《湖の底から15歳少女の遺体発見》両腕両脚が切断、背中には麻薬・武装組織の頭文字“PCC”が刻まれ…身柄を確保された“意外な犯人”【ブラジル・サンパウロ州】
NEWSポストセブン
金正恩(中央)と娘の金ジュエ(右)。2025年6月29日に撮影され、2025年6月30日に北朝鮮の国営通信社(KCNA)が公開した写真より(AFP=時事)
《“爆速成長”と注目》金正恩総書記の13歳娘が身長165cmに!北朝鮮で高身長であることはどんな意味を持つのか 
山本由伸の自宅で強盗未遂事件があったと報じられた(左は共同、右はbackgrid/アフロ)
「31億円豪邸の窓ガラスが破壊され…」山本由伸の自宅で強盗未遂事件、昨年11月には付近で「彼女とツーショット報道」も
NEWSポストセブン
佳子さまも被害にあった「ディープフェイク」問題(時事通信フォト)
《佳子さまも標的にされる“ディープフェイク動画”》各国では対策が強化されるなか、日本国内では直接取り締まる法律がない現状 宮内庁に問う「どう対応するのか」
週刊ポスト
『あんぱん』の「朝田三姉妹」を起用するCMが激増
今田美桜、河合優実、原菜乃華『あんぱん』朝田三姉妹が席巻中 CM界の優等生として活躍する朝ドラヒロインたち
女性セブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト