国内

【公明党最強の集票組織】創価学会婦人部は弱体化したのか? “大物婦人部長”に直撃

創価学会婦人部のいまは?(時事通信フォト)

創価学会婦人部のいまは?(時事通信フォト)

 公明党の得票力の源となってきたのが創価学会婦人部(現・女性部)だ。自民党が依存し、時に振り回されてきた最強の集票組織である。自公の協力関係が揺らぐなか、「最強組織」の内実にノンフィクション作家の広野真嗣氏が迫る。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
 1990年代以降、婦人部は二つの葛藤に直面することになる。

 一つ目は政治的な葛藤だ。1999年の与党入り以降、自民党に引きずられ平和思想が歪められているという批判が絶えない。

大物幹部が「長」から外れた

 今年2月、女性学会員のアイコンだった浜四津敏子・元代表代行が2020年11月に亡くなっていたと公表された。朝日新聞の追悼記事(5月27日付夕刊)によれば、浜四津氏が2003年の自衛隊のイラク派遣に賛成する党の方針に当時から異論を唱え、後になっても「連立で公明党らしさを失った一番の原因はイラク戦争への対応」と嘆いていたという。

 また政界引退後の2014年に安全保障法制の整備を進めた安倍晋三首相については、「歴史修正主義、戦後最悪の総理」「右翼の跋扈を後押しし、最も国益を害している政治家ではないでしょうか」と断じていたという。

 安保法制については当時、現場の学会員が三色旗を振って平和主義への回帰を求めるデモが信濃町で起きた。

 もう一つは、宗教的な教えをめぐる葛藤だ。

 学会は2014年11月8日付の聖教新聞を通じ「『御本尊』とは創価学会が受持の対象とした御本尊であり(略)弘安2年の御本尊は受持の対象にはいたしません」という教義改訂を打ち出した。

 緊張関係にあった日蓮正宗の本山(大石寺)が1991年、学会を破門にしたことで、学会は宗教的に独立を勝ち得た一方、信仰体系を組み替える必要が生じた。懸案だったのは本山の御本尊(学会内では「大御本尊」と呼ぶ)が信仰対象であり続けるのかという問題だ。

 執行部は2014年、独自性を明確にする決定に踏み切ったが、「時期尚早ではないか」という根強い声があった。長年大御本尊を信仰対象と考えてきた学会員がいるからだ。

 政治と教義の両面から急ハンドルを切る判断をした学会・公明党に物申したのは、婦人部の幹部たちだとされる。学会の本部職員経験者が語る。

「安保法制の時も、教義改訂の時も、婦人部と執行部の間に対立が生じたと聞きました。それからしばらくして、婦人部を長年リードした大物の女性学会員が権限のないポストに代わるという記事が出たので“外されたんだ”と思った。その頃からですよ、婦人部が弱くなったのは」

 一つの人事が一部の学会員に“転換点”と受け止められるほどの大物婦人部幹部とは誰か──たどりついた人物こそが、“大物婦人部長”と呼ばれ、最強の集票組織「創価学会婦人部(2021年に女子部と統合して女性部に改称)」の中で尊敬を集めてきた1946年生まれの坂口幾代氏だ。

 坂口氏は42歳になる1988年に婦人部長に就き、1999年に総婦人部長、2008年に婦人部総合長に就任。それが2015年、初めて「長」がつかない「婦人部総主事」に移っている。

 この坂口氏とは、どんな人物で、いかにして“大物婦人部長”と呼ばれるに至ったのか。

関連キーワード

トピックス

山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン