芸能

【オードリー・ヘプバーン没後30年】「愛」と「平和」に生きた晩年の言葉 「すべての始まりは優しさから」

「永遠の妖精」と呼ばれた世紀の大女優オードリー・ヘプバーン(時事通信フォト)

「永遠の妖精」と呼ばれた世紀の大女優オードリー・ヘプバーン(時事通信フォト)

「こんなに美しい人がいるなんて」──映画『ローマの休日』を初めて観た時、息を呑んだ。可憐で清楚、上品なのに無邪気。あの日観た彼女、オードリー・ヘプバーンへの憧憬が、今鮮やかに蘇る。

「テレビで恐ろしい光景を見るたびに、いつも自分の無力を痛感していました。でも、ようやく何かをするすばらしい機会を与えられたのです」

「永遠の妖精」と呼ばれた世紀の大女優オードリー・ヘプバーンは晩年、こう語った。幼少期に両親の離婚で感じた愛への渇望。そして学生時代に巻き込まれた第二次世界大戦の悲劇を繰り返さないための使命感で、女優引退後の1988年からはユニセフ親善大使を務め、「愛」と「平和」のために奔走した。

 エチオピアやベネズエラなど数十か国を訪れ、貧困にあえぐ人たちに手を差し伸べてきたオードリー。とりわけ子供への慈愛は格別で、必ず抱き締めてあげていたという。そんな彼女が愛読していた詩のなかにこんな一節がある。

〈愛情をこめた人のやさしい慈しみは、けっして失われることがない〉

 慈愛に満ちたオードリーが、今まさに戦火が続くウクライナやパレスチナの国民を見たらどう思うだろうか。何の関係もない、ただその場にいるだけで命が奪われていく惨状を。

 彼女はこう遺した──「すべての始まりは優しさからだと、私は強く感じています。もし誰もがそんな風に生きたら、世界はどんなに違った姿になるでしょう」

参考文献/『オードリー・ヘップバーンの言葉』(大和書房)

取材・文/辻本幸路

※週刊ポスト2023年11月17・24日号

関連記事

トピックス

東日本大震災発生時、ブルーインパルスは松島基地を離れていた(時事通信フォト)
《津波警報で避難は?》3.11で難を逃れた「ブルーインパルス」現在の居場所は…本日の飛行訓練はキャンセル
NEWSポストセブン
別府港が津波に見舞われる中、尾畠さんは待機中だ
「要請あれば、すぐ行く」別府湾で清掃活動を続ける“スーパーボランティア”尾畠春夫さん(85)に直撃 《日本列島に津波警報が発令》
NEWSポストセブン
宮城県気仙沼市では注意報が警報に変わり、津波予想も1メートルから3メートルに
「街中にサイレンが鳴り響き…」宮城・気仙沼市に旅行中の男性が語る“緊迫の朝” 「一時はネットもつながらず焦った」《日本全国で津波警報》
NEWSポストセブン
津波警報が発令され、ハワイでは大渋滞が発生(AFP=時事)
ハワイに“破壊的な津波のおそれ” スーパーからは水も食料品も消え…「クラクションが鳴り止まない。カオスです」旅行者が明かす現地の混乱ぶり《カムチャツカ半島地震の影響》
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月16日、撮影/横田紋子)
《モンゴルご訪問で魅了》皇后雅子さま、「民族衣装風のジャケット」や「”桜色”のセットアップ」など装いに見る“細やかなお気遣い”
夜の街での男女トラブルは社会問題でもある(写真はイメージ/Getty)
「整形費用返済のために…」現役アイドルがメンズエステ店で働くことになったきっかけ、“ストーカー化した”客から逃れるために契約した「格安スマホ」
NEWSポストセブン
牛田茉友氏はNHKの元アナウンサーだったこともあり、街頭演説を追っかける熱烈なファンもいた(写真撮影:小川裕夫)
参院選に見るタレント候補の選挙戦の変化 ラサール石井氏は亀有駅近くで街頭演説を行うも『こち亀』の話題を封印したワケ
NEWSポストセブン
大谷家の別荘が問題に直面している(写真/AFLO)
大谷翔平も購入したハワイ豪華リゾートビジネスが問題に直面 14区画中8区画が売れ残り、建設予定地はまるで荒野のような状態 トランプ大統領の影響も
女性セブン
技能実習生のダム・ズイ・カン容疑者と亡くなった椋本舞子さん(共同通信/景徳鎮陶瓷大学ホームページより)
《佐賀・強盗殺人》ベトナム人の男が「オカネ出せ。財布ミセロ」自宅に押し入りナイフで切りつけ…日本語講師・椋本舞子さんを襲った“強い殺意” 生前は「英語も中国語も堪能」「海外の友達がいっぱい」
NEWSポストセブン
大日向開拓地のキャベツ畑を訪問された上皇ご夫妻(2024年8月、長野県軽井沢町)
美智子さま、葛藤の戦後80年の夏 上皇さまの体調不安で軽井沢でのご静養は微妙な状況に 大戦の記憶を刻んだ土地への祈りの旅も叶わぬ可能性も
女性セブン
休場が続く横綱・豊昇龍
「3場所で金星8個配給…」それでも横綱・豊昇龍に相撲協会が引退勧告できない複雑な事情 やくみつる氏は「“大豊時代”は、ちょっとイメージしづらい」
週刊ポスト
NYの高層ビルで銃撃事件が発生した(右・時事通信フォト)
《5人死亡のNYビル乱射》小室圭さん勤務先からわずか0.6マイル…タムラ容疑者が大型ライフルを手にビルに侵入「日系駐在員も多く勤務するエリア」
NEWSポストセブン