手術後、右腕をギブスで固めた大谷(写真/共同通信社)
同様に、人口約74万人で治安も比較的いいシアトルを本拠地にするマリナーズも、候補の1つだ。
「マリナーズではイチローさんをはじめ多くの日本人選手がプレーしてきました。シアトルには日本人も多く住んでいて、食事や住環境も整っている。大谷選手にとっても暮らしやすい街だと思います」(前出・スポーツ紙記者)
今年のオールスター戦では、大谷が打席に立つや、球場に詰めかけたシアトルのファンから「Come to Seattle(シアトルにおいで)」の大合唱が巻き起こった。
ファンの期待の大きさでは、ジャイアンツも負けてはいない。エンゼルスの戦績が落ち始めた今年8月には、ジャイアンツファンの少年が敵地であるエンゼルスタジアムを訪れ「やぁ、ショウヘイ!! 背番号17はジャイアンツのユニホームに似合うよ。ゴージャイアンツ!」と書いたボードを掲げる姿が話題となった。
「ジャイアンツはいま、チームの目玉となるスーパースターを欲しています。大谷選手の元同僚で現在はジャイアンツにいるアレックス・カップ選手も『歴史を作ろう』と大谷選手にラブコールを送るなど、是が非でも彼に来てほしい様子です」(地元紙記者)
西海岸からは外れるが、対抗馬と目されているのが、ワールドシリーズを制したテキサス・レンジャーズと、名門ボストン・レッドソックスだ。
「ここ数年、大型補強を繰り返したレンジャーズは“補強がチームのパフォーマンスを上げる”ことを実感しているので、大谷選手に大枚をはたくことを躊躇しないでしょう。
レッドソックスは、4月に地元紙が大谷選手宛てに異例の『公開書簡』を掲載。そこでは高校時代の大谷選手をベーブ・ルースのように育成しようとした計画書がまだチーム内に保管されていることや、4年前から大谷獲得に向けて高額年俸の選手を放出してきたことが明かされました。渋滞が有名なロサンゼルスと比較して、ボストンは交通網が整備されていることまでアピールしていましたね」(前出・在米ジャーナリスト)
ごく限られた選手にしか訪れない大型契約のチャンス。かつてはダルビッシュ有(37才)も、「生涯に一度のこと」と言い、決断が簡単ではない心境を吐露していた。それは大谷も同じ。例年ならばオフには帰国し、日本のファンにも姿を見せる大谷だが、今年はまだ帰国の途についていない。米メディアも「大谷の沈黙は不気味」と表現するほど、人前に出ることを徹底的に避けている。前出の在米ジャーナリストが語る。
「ビッグマネーが動くことは間違いないでしょうが、大谷選手本人はおカネに無頓着なところがあるので、“いちばんおカネを出すチーム”に行くとは限らない。右肘のリハビリもあるし、いま彼は静かに自分自身と向き合っているのではないでしょうか」
大谷にとって、“生涯最後”となるかもしれない今回のFA。優勝争いか、それともチームへの愛情か。はたまた住みやすさか。彼がいちばん大事にするものが判明するまで、全米を巻き込んだ大谷狂想曲は続く。
※女性セブン2023年11月23日号