芸能

保田圭、“育ての親”夏まゆみさんへの感謝「時には涙を流しながらとことん向き合ってくれた」

振付師の夏まゆみさん

故・夏まゆみさんに叱られた思い出を振り返る

 今年6月、がんのため61才の若さで亡くなった振付師の夏まゆみさん。「鬼コーチ」としてモーニング娘。やAKB48を指導した彼女のお別れの会で、モーニング娘。OGの保田圭(42才)は涙ながらにこう挨拶した。

「早すぎます。まだまだ夏先生に見ていただきたかったですし、恩返しもしたかった」

 保田にとって夏さんは言わば芸能界における“育ての親”。初めて夏さんに叱られたときのことを保田は鮮明に覚えている。

「モーニング娘。に入ったばかりの17才の頃、寝転がって足を上げる腹筋トレーニングのときに夏先生が“やめ”という前に、つらくてつい足を下ろしてしまったんです。すると夏先生から“何で諦めるんだ! 私はまだやめていいとは言っていない。自分と戦いなさい!”と怒られました。だけど当時はまだ若かったので、“えー、しんどいのに”と思うだけ。先生の言う“自分との戦い”がなんなのかよくわかりませんでした」(保田・以下同)

 だがアイドル活動を続けるうちに、保田は夏さんの言葉の重みを知ることになる。

「ダンスが覚えられない、睡眠不足でつらい、思うようなパフォーマンスができない……そうした壁を乗り越えられるかどうかは、最終的には自分との戦いだと気づきました。これが夏先生の言っていたことかとようやく理解できた」

「指導者には嫌われる覚悟が必要」がモットーの夏さんの指導は容赦なく、スタジオに彼女が現れるとピリッとした緊張感が走った。

「家で何時間も練習したのにスタジオで振り付けがうまくいかなかったとき、“練習してきたのか?”と夏先生に聞かれ、“はい”と答えたら、“できていないから、練習したとは言えない!”とピシャリと言われました。

 プロは結果がすべてで、どれだけたくさん練習してもできなければ練習していないのと同じ。要は自分の努力が足りないんです。アイドルとして、プロとして生きていく心構えを叩き込まれました」

 どんなに叱られても夏さんを慕い、食らいついていったのは厳しい指導や言葉の裏に常に深い「愛情」があったから。

「時には涙を流しながら私たちを叱ってくれたし、うれしいときもまた涙ながらに一緒に喜んでくれました。すごくハートフルで繊細なかた。いつも変わらぬ愛情を持ってとことん向き合ってくれた」

 先生と生徒の緊張関係を維持し、保田も「ちゃんと言葉にして褒めてもらったのは3回」と振り返るほど教え子を褒めることの少なかった夏さんだが、保田がモーニング娘。を卒業すると違った一面を見せた。

「卒業後に私が出演したソロの舞台を見てくれた夏先生からお手紙をいただいたんです。それまでは“保田”と呼ばれていたけど、少し距離を縮めた感じで“圭ちゃん”と書いてくれて、舞台についても“よかったよ”と褒めてくれました。それがすごくうれしくて、そのお手紙は宝物ボックスにしまってあります。

 夏先生には“アイドルとは何か”ということ、そして真摯に仕事と向き合う大切さを言葉からも生き方からも学びました。愛を持って厳しく指導してもらったおかげで、いまも自分と戦うことができています」

保田圭

保田圭

【プロフィール】
保田圭(やすだ・けい)/1980年千葉県出身。歌手、女優、タレント。1998年にモーニング娘。の2期メンバーとしてデビュー。モーニング娘。の振付師を務めた夏まゆみさんのもとでダンスを習う。2003年、モーニング娘。を卒業。以降、舞台、ドラマ、バラエティー番組などに出演。

※女性セブン2023年11月30日・12月7日号

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