芸能

【終活なんて考えたことがない】91歳の映画監督・山田火砂子さんの強いメッセージ「運命を嘆くよりも使命を持ってほしい」

名優たちが出演を志願する

名優たちが出演を志願する山田さんの作品(撮影/田中智久)

 日本を代表する俳優陣に「出てよ」の一言で出演を快諾させるのは、世の中にはびこる差別や理不尽、政治への怒りを原動力にメガホンを取り続ける91才の女性監督。何才になっても尽きぬ元気の源はいったい何か。【全3回の第3回。第1回から読む

 山田さんから届いた直筆の手紙に心を動かされ、2017年の映画『母 小林多喜二の母の物語』に続きオファーを受けたと明かす寺島しのぶ(50才)は、撮影中の山田さんの快活さに舌を巻いたと笑う。

「台本と一緒に、『寺島さんじゃないと、この役は成り立ちません』と書かれたお手紙をいただきました。あれをいただいたらお断りできません。

 山田監督は『愛情さえあれば映画は撮れる』という熱意をお持ちで、何よりすごいと思うのは、監督としても人としても“いい・悪い”の判断基準がはっきりしていらっしゃることです。

 誰かに言われたからといって意見を変えることもないですし、あんなにはっきりしていらっしゃる91才はいない。誰より大きな声で『よーい!』って声を出して、よく召し上がる。そもそも90才を超えてあんなに快活に話せることそのものが本当にすごいと思います。あんな91才になれる自信はありません(苦笑)」(寺島)

 寺島が「どうやったらあんなに元気に生きていけるんだろう」と首を捻るほど早朝から夕方まで現場に出ずっぱりの山田さんだが、実は腎臓が悪く、1年前から週3回、1回4時間の透析を受けている。山田さんの次女で、現在はプロデューサーとして母をサポートする上野有さんはこう話す。

「だからスケジュールを組むのが本当に大変で……。豪華キャストが限られたスケジュールで出演してくれているなか、透析終了後はぐったりして仕事にならないので、撮影中は午前中に現場を入れて、午後に透析を受けるなど、調整に調整を重ね、スケジューリングをしています」

 だが当の本人は意気軒昂で「こんなに元気な透析患者はいないって、今度NHKが取材に来るのよ」と笑顔で病院に向かう。名優たちと1つの作品を作る喜びや楽しさがある一方、心身ともに大きな負担がかかる映画監督をいまなお元気に続けられる秘訣は何だろうか。そう尋ねると山田さんは、「特にない」と言う。

「ご飯が食べたかったらご飯を食べるし、パンが食べたかったらパンを食べる。透析は塩分に気をつければ大丈夫だから、そのほかの食事は勝手気ままに食べています。大好物は鮭で、肉はそんなに好きじゃない。すき焼きぐらいは食べますけれど」(山田さん)

 60代で白内障の手術を受けて視力は良好。聴力も補聴器なしで普段の会話にはほとんど困らない。

「健康の秘訣……強いて言えば、『あえて不便な生活をする』ことかもしれない。誰かに何かをしてもらうことが衰える原因です。だから私はひとり暮らしをして自分でご飯を作ります。それもなるべく電化製品に頼らずに料理する。たとえばいまは自動で野菜を刻む機械があるけれど、手を動かすことが認知症を防ぐと思っているから絶対買わないの(笑い)。ピアニストもバイオリニストも手先を使う人は元気で長生きでしょ」(山田さん)

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン