旅にはスケッチブックを必ず持参した

旅にはスケッチブックを必ず持参した (写真/太田真三) 

絵描きになりたかった子ども時代

 国民的女優との結婚や作詞した曲の大ヒット、さらには麻雀、競輪、競馬などギャンブル好きの側面といった華やかなエピソードが衆目を集める伊集院氏だか、本誌『週刊ポスト』では、世界中を精力的に旅して紀行連載を寄せていただいた。

 ナポレオンの足跡をたどる「ナポレオン街道」、“一枚の素晴らしき絵画”にめぐり逢う「美の旅人」、世界のトップアスリートを追う「スポーツの美神」と、伊集院氏の物事の本質に迫る眼はいかんなく発揮された。すべての取材に同行したカメラマンは、伊集院氏の素顔について語る。

「無頼派と言われますが、とても繊細な一面も持っていて、私や宿の方にも気を遣ってくださった。一生懸命な相手には年齢関係なく正対する姿が印象的でした。とても花が好きで、長期滞在するホテルでは、部屋に花を入れてほしいと頼んでいましたね」(元小学館写真室・太田真三氏)

 旅には常にスケッチブックを持ち歩いた。

「子どもの頃、野球選手か絵描きになりたかったと話していて、美術館でも熱心にメモをとっていました」(同前)

 人を愛し、人に愛された稀代の粋人が残した数々の逸話は、多くの読者の心に残り続ける。

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