先日のGIマイルチャンピオンシップで頑張ってくれたレッドモンレーヴ(父ロードカナロア)は、藤沢和雄厩舎から引き継いだ馬ですが、母系は日本競馬の歴史を作った名牝系です。母はラストグルーヴ。この馬名を聞いたときにピンとくるでしょう、オークスや天皇賞(秋)などGIを2勝したエアグルーヴの子供です。エアグルーヴは“長女”のアドマイヤグルーヴがエリザベス女王杯、母であるダイナカールがオークスを勝っている。母系が3代にわたってGIを勝つということは、奇跡に近いほどの出来事です。エアグルーヴはルーラーシップ、アドマイヤグルーヴはドゥラメンテなどの優秀な種牡馬も送り出していて、まさに「華麗なる一族」なのです。
藤沢和雄厩舎では血統のいい牝馬を本当に大事にされていました。その馬のことだけではなく、血統の将来性を考え、決して無理をさせることがなかったと思います。僕はまだまだ厩舎独自の血統とか考えられる状況にはありませんが、無事に生産牧場にお返しできるよう、一頭一頭としっかり向き合っていきます。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年12月15日号