『紅白歌合戦』でくすぶる性別の問題
5つ目のキーワード「見世物」は、“女芸人”という参加資格の是非が再燃しかねないこと。多様性の尊重が叫ばれ、『NHK紅白歌合戦』の性別で分けた対戦形式が批判される中、『THE W』に向けられる目も穏やかなものとは言えません。
難しいのは、「なぜ今の時代に女性だけをフィーチャーするのかの説明が十分ではない」「審査員も大会サポーターの芸人もほぼ男性ばかり」であること。これらが原因となって「女を見世物のように扱って自局の利益をあげようとしている」などの批判があがりやすい状態が続いています。
さらに今年は『24時間テレビ』の募金着服問題が報じられたばかり。これはローカル局のいち局員が罪を犯しただけで日本テレビの非はほぼないのですが、「障害者を見世物のように扱って自局の利益をあげようとしている」という批判が飛び交ったばかりだけに、その矛先が『THE W』に飛び火しかねないムードが漂っています。
これら5つのキーワードは今大会の成否を占うとともに、来年以降の開催にも影響を及ぼしていくでしょう。視聴率、配信再生数、Xのランキング、世間の人々とスポンサーの評判など、さまざまな評価基準をシビアな査定をすることで知られる日本テレビがどう判断するのか。少なくともファイナリストたちは100%の力を発揮して開催や放送の意義を感じさせる大会にしてほしいところです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。