サービスがよすぎて、接待に使う常連も

 奥の席で、やはり野球の話で盛り上がる男女4人は、ひとりが常連だが、他の3人を接待中だという。

「うちの会社、ここの角打ちは接待で利用しますねん。なんたってお店の人が客をよく見ていて、神対応なんです。気分ようてね。安心して話ができるし、決まる話も決まるねん」(50代、会社経営)

 角打ちの店へ案内すると、最初は皆、驚くのだそう。

「初めて来る人は最初、『え? ここ?』と思わはるねんけど、最後にはみんな気に入る。これが大阪の接待。真心の接待やん(笑い)。こんなに居心地よく阪神戦を見られる幸せ、ないやろ?」(同前)

 接待される側も「阪神の優勝は、盆と正月が一緒に来たという言葉じゃ足らん。なんかもう一個、来てる。なんか知らんけど?(笑い)」と上機嫌で酒が進んでいる。

「ほかで飲んでもな、最後の一杯はここよ」という常連も。「大阪は飲み屋さんが多い。時にはちょっとしっくり来ないところで飲んでまうこともあるやん。でも、ここで飲み直せると思うと、安心して飲み歩きでけんねん。ほんまにマスターは自分では言わはらへんけどな、この店は最高や。家におるみたいな気分にさせてくれるねん」(50代)

 話を聞いたあとに、撮影タイム。偶然ながら9人が写真に収まった。野球を愛するこの店の常連スターティングメンバーとでも言おうか。

「ともかく阪神のお陰で皆、笑顔や。街が明るうてよろしいわ! はいチーズ」

奇しくも9名が揃い、野球のスタメンと同じ数の笑顔だ

奇しくも9名が揃い、野球のスタメンと同じ数の笑顔だ

 と一番うれしそうに音頭をとった御仁、実は元近鉄ファンだったというのもこの店らしさか。

 ともかく、38年ぶりの日本一を振り返る客らの手には焼酎ハイボール。

揚げたてのいわし天(手前)やおでんなど、焼酎ハイボールとの相性も抜群だ

揚げたてのいわし天(手前)やおでんなど、焼酎ハイボールとの相性も抜群だ

「応援のお供はこれが最高やった。キリッと飲んで、さあ、来年もぜひ、ええ年にしまひょ」(40代の常連)。

■木下裕義酒店

【住所】大阪府大阪市中央区南新町2-3-1
【電話】06-6941-1551
【営業時間】月~金10~23時、 土19~23時、定休:日・祝(ときどき土曜) 
焼酎ハイボール300円、ビール大びん500円、おでん150円~、ちくキュー400円、いわし天350円 

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