ライフ

藤井聡太八冠「一強」は2024年も続く? 先崎学九段「何年も全冠独占はさすがに難しい」 ポイントは“振り飛車”か

先崎学九段(左)と将棋に造詣が深い作家・芦沢央氏が今後の将棋界を語り合う

先崎学九段(左)と将棋に造詣が深い作家・芦沢央氏が今後の将棋界を語り合う

 8大タイトル独占という前人未到の偉業を成し遂げた藤井聡太八冠(21)。将棋界は今年も「一強」が続くのか──プロ棋士の先崎学九段と、将棋に造詣が深い作家・芦沢央氏が語り合った。【前後編の前編】

先崎:昨年10月、全冠制覇を達成した藤井聡太八冠ですが、「同学年対決」で注目された10~11月の竜王戦七番勝負でも伊藤匠七段(21)に4連勝し、3連覇を決めました。こうなると誰が絶対王者の牙城を崩すのか、今年の将棋界は挑戦者争いから目が離せません。

芦沢:「観る将」の私は仕事が手につかず困っています。昨年、日本推理作家協会で将棋部を再結成したのですが、タイトル戦が始まるとグループLINEのやりとりで盛り上がってしまい、終盤はチャット状態。こうなると原稿の執筆はもはや不可能です。

先崎:皆さん、ぜひ仕事はしていただきたいですけれども(笑)。いまはBGM代わりに動画中継でタイトル戦を楽しめる時代になりましたね。

芦沢:藤井先生が八冠を達成した昨年の王座戦第4局はあまりに劇的でした。最終盤、永瀬(拓矢王座=当時、31)先生の勝ちになったと思われたところで急転直下の大逆転が起き、永瀬先生が頭をかきむしってミスを悔やんだ姿が忘れられません。

先崎:敗着に気づいて落胆する姿は、棋士たちにとっては見慣れた光景なのですが、注目度が段違いに高い対局とあって、将棋ファンの間では大変な反響がありました。たった1手で勝負がひっくり返る、将棋特有のゲーム性が生み出す人間ドラマが見る者の胸を打つのでしょう。

芦沢:私がもうひとつ印象に残ったのは、永瀬先生の「投了後」の冷静な振る舞いでした。棋士の先生はみな、幼少期から将棋を通じて気持ちの整理のつけ方を訓練されているのだなあと改めてプロの凄みを感じましたね。

先崎:将棋は最善手を選び続けるのが難しい、つまり間違えやすいゲームです。ただし終盤、相手の玉に詰みがある時に間違えて勝ちを逃す、決定的な悪手を指してしまうと、それは序中盤の間違いに比べて、棋士が自分自身を責める度合いが高くなってしまいます。

芦沢:永瀬先生は将棋の内容的に見て、スコア以上に藤井先生に対抗している印象があります。今年もタイトル戦線での活躍が期待されますね。

先崎:無敵のようにも見える藤井さんですが、この先、何年も全冠独占を維持できるかといえばさすがに難しいのではないかというのが私の見方です。ただし、その棋士が藤井さんに拮抗できるかどうかですよね。金星を挙げるだけではなく、東西の正横綱のように、並び立つ存在になれるかどうかがポイントでしょう。

関連記事

トピックス

永野芽郁の近影が目撃された(2025年10月)
《プラダのデニムパンツでお揃いコーデ》「男性のほうがウマが合う」永野芽郁が和風パスタ店でじゃれあった“イケメン元マネージャー”と深い信頼関係を築いたワケ
NEWSポストセブン
多くの外国人観光客などが渋谷のハロウィンを楽しんだ
《渋谷ハロウィン2025》「大麻の匂いがして……」土砂降り&厳戒態勢で“地下”や“クラブ”がホットスポット化、大通りは“ボヤ騒ぎ”で一時騒然
NEWSポストセブン
声優高槻かなこ。舞台や歌唱、配信など多岐にわたる活躍を見せる
【独占告白】声優・高槻かなこが語る「インド人との国際結婚」の真相 SNS上での「デマ情報拡散」や見知らぬ“足跡”に恐怖
NEWSポストセブン
人気キャラが出現するなど盛り上がりを見せたが、消防車が出動の場面も
渋谷のクラブで「いつでも女の子に(クスリ)混ぜますよ」と…警察の本気警備に“センター街離れ”で路上からクラブへ《渋谷ハロウィン2025ルポ》
NEWSポストセブン
クマによる被害
「走って逃げたら追い越され、正面から顔を…」「頭の肉が裂け頭蓋骨が見えた」北秋田市でクマに襲われた男性(68)が明かした被害の一部始終《考え方を変えないと被害は増える》
NEWSポストセブン
園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン