タイトル奪取に挑むライバルたち
先崎:そういう生臭い話は私にはわかりませんが……(笑)、前から多忙なのでそれは大丈夫でしょう。渡辺さんと同じく、ファンの期待がとりわけ大きい棋士ですから、羽生世代の代表として、再び藤井さんに挑戦するというドラマを私も見てみたいです。
芦沢:将棋連盟は今年、設立100周年を迎え、東京と大阪に新たな将棋会館がオープンするそうですね。
先崎:はい。東京はいまと同じ千駄ケ谷、関西は大阪府高槻市に新会館が建設される予定です。藤井さんを中心に、新時代にふさわしい激闘が繰り広げられると思います。今年の将棋界にも大いに期待してください。
(了。前編から読む)
【プロフィール】
先崎学(せんざき・まなぶ)/1970年、青森県生まれ。棋士。1981年に小学5年生で奨励会に入会。1987年に四段に昇段し、プロに。棋戦優勝2回、A級在位2期。著書に『うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間』(文藝春秋)など。
芦沢央(あしざわ・よう)/1984年、東京都生まれ。作家。2012年、『罪の余白』(KADOKAWA)で第3回野生時代フロンティア文学賞を受賞し、デビュー。2022年、『神の悪手』(新潮社)で将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞を受賞。そのほか『夜の道標』(中央公論新社)など著書多数。
※週刊ポスト2024年1月12・19日号