生前、角栄と交流があった俳優の高倉健
線香の熨斗に「高倉健」の名が
手紙には「返信には及びません」と書いてあったが、これほど思いのこもった投稿に感銘を受けた雅子さんはお礼の手紙を出した。ちょうど俊夫さんの命日だったのでそのことに触れると、すかさず祭壇用に大きな胡蝶蘭が届いた。送り状にあった電話番号にお礼の電話をすると「あなたからの手紙、机の前に貼ってますのよ」……こうして眞紀子さんと電話のやり取りが始まった。記者会見などでおなじみの“立て板に水”の威勢いいおしゃべりが心地よかった。何度か話すうちに、2022年6月15日、東京・目白の自宅に伺うことになった。
目白御殿といえば、田中角栄元首相の邸宅として知られる。屋敷の門には今も元首相の表札がかかっている。雅子さんは広間で元首相の仏壇にお参りしてお線香をあげた。仏壇の横には高級線香が山積みになっている。熨斗には「高倉健」の名前が。健さんは生前、角栄氏のため毎年線香を送っていたのだという。大勢の政界関係者が出入りし、日本の政治を動かしてきた屋敷だ。各所に角栄氏の在りし日の写真が掲げてあった。
そんなお付き合いが続く中、行政文書の開示を巡る裁判はまさかの一審敗訴。検察に任意提出した文書が具体的に特定されるだけでも、捜査手法や捜査機関の関心が推知され、将来の同種事件の捜査に影響を及ぼす恐れがある、というのが理由だった。これを二審でどう覆していくか? 取材を続けている関西テレビの諸岡陽太記者がアイディアを出した。
「検察の捜査に詳しい元検事の弁護士に意見書を書いてもらってはどうでしょう?」