米フォーブス誌が毎年、発表している世界のスポーツ選手長者番付トップ50に女子選手はテニスのセリーナ・ウイリアムズの一人だけ。スポーツ界における男女の賃金格差は今も大きいままだ(AFP=時事)

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 一方、ショックを受けていたように見えた女子生徒たちからは、のちに「なぜあの大会だけ女子が後だったのか」と質問を受け、反応に困ったともいう。万一にでも「女子への配慮」と言ってしまえば、それこそが「優劣がある」と決めつけているようにも捉えられる恐れがあるからだ。

クラス名簿の順番が小学校と中学校で違っていた

 一貫しない大人たちの姿勢も、もしかしたらギャップがなかなか埋まらない原因なのかもしれない。千葉県在住の高校2年生・坂本あやめさん(仮名・17歳)も疑問を呈する。

「小学校の時のクラス名簿は男女混合のあいうえお順だったのに、中学に入ると男女の順になりました。どういう意味があるのかわからないし、なぜ男子が先なのか、なぜ小学校では混ぜこぜだったのか、いまだにわかりません」(坂本さん)

 また、クラスの担任によっては、名簿表記順で女子が先になることもあったといい、生徒の間では「なぜなのか」と度々話題になったという。生徒たちが困惑する中、授業では「ジェンダー・ギャップを無くそう」と習うものだから、教師たちの対応こそが、順番に配慮することが「正しい格差解消の方法」と考える生徒たちも少なくない。もちろん、試行錯誤の最中だとはしても、子供たちは大人たちの言動をこと細やかに観察しているのだ。だが、時と場合、環境に関係無く機械的に男女の順番を入れ替えることが格差解消の手段だと思わせてしまうのは、本当のジェンダー・ギャップ解消とはほど遠いやり方なのではないか。

 大人たちがいう「ギャップ解消」と、生徒たちが日々感じる現実。子供たちの多くは「そんなこと気にしていない、どうでもいい」というかもしれない。だが、この狭間の中で、子供たちの「ジェンダー理解」は本当に進んでいるのかと不安に思えてくる。進んでいないとすれば、その責任の大部分は大人側にあることは明白だろう。

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