能登町の避難所の様子(1月15日撮影、時事通信フォト)

能登町の避難所の様子(1月15日撮影、時事通信フォト)

 特に気をつけなければならないが高齢者だ。

「理由のひとつは持病がある方が多いこと。服薬している薬が切れてしまうとか、避難所や車中避難などで持病が悪化してしまう。他にも、リロケーションダメージといって、環境が大きく変わることで心身へのストレスが大きくなってしまう。暖房器具も乏しい中で一日中過ごさなければならず、冷気で睡眠もままならない。低体温症にもなりやすい。また、水不足でトイレが使えない状況があるため、なるべくトイレに行かないようにと水分を控える。すると脱水症状を引き起こします。代謝能力、身体能力が落ちている高齢者にとっては心身の不調を引き起こします。

 また、今回は元日に発災したことで、本当なら家族で正月をお祝いしていたのに、一転して寒い避難所生活を余儀なくされています。家族がご無事でしたらまだしも、犠牲になられた方もいる。それは余計に気持ちを弱らせます。うつなど、精神的に不調をきたすこともあるでしょう。これまでの災害でも心が弱ってしまい、うつから自ら命を絶ってしまうこともありました。自死も、災害関連死とされています」

 地震列島の日本では、今後も大きな災害が起こることは必定だ。

「人口減少、過疎化が進み、超高齢社会の日本では、発災後の災害関連死のリスクは今後高まっていくでしょう。それを防ぐには、人と人のつながりを持った社会を作っていくことだと思います。よく、“災害に強い町はどういう町か?”と聞かれます。そういうとき私は、“人と人がつながっている町です”と答えます。おはよう、こんにちはと挨拶をする。特別なことをするのではなく、普段からつながりあう地域を作っていくことが災害発生時にも協力できる関係につながると思います」

 能登半島地震はもちろん、今後起こる自然災害についても、災害関連死への対策は急務だ。

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