ロシアのプーチン大統領(写真=SPUTNIK/時事)

ロシアのプーチン大統領(写真=SPUTNIK/時事)

日本は独自の安全保障外交に踏み出すべき

 しかし、これだけではまだ足りない。

 これからの日本に必要なのは、インドネシアをはじめ東南アジア諸国との関係を強化しておくこと。逆説的なようだが、そのための重要な手段の一つが防衛装備品の輸出だと考える。現在の防衛装備品はメンテナンスが重要。日本の装備を買ってもらえば、装備のメンテナンスを日本に頼らざるを得ない。そうすれば、自国の防衛上、日本を敵には回せなくなる。インフラ輸出などもそれに通じる。

 日本は米国に頼りっぱなしではなく、独自の安全保障外交に踏み出していく時だと思う。

 トランプが大統領になれば世界の紛争の数は増えてくる。しかし、紛争を激化させ、こじらせるのは大国の介入だ。米国の介入がなくなれば、紛争は増えるが激化するケースは減る可能性がある。

 そういった意味で、トランプになったほうが「世界の先」が読みやすい。今からその変化に備えておくことこそが一番重要だ。

【プロフィール】
佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』などがある。

※週刊ポスト2024年3月1日号

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