ライフ

【森雪之丞さんインタビュー】初の現代詩の自選集発売「70歳という未知のジャングルに足を踏み入れるにあたり、気合を入れ直そうと」

森雪之丞さん/『感情の配線 森雪之丞自選詩集』

『感情の配線 森雪之丞自選詩集』の著者・森雪之丞さんに訊く

【著者インタビュー】森雪之丞さん/『感情の配線 森雪之丞自選詩集』/開発社/2750円

【本の内容】
 これまで30年の間に上梓した5冊の詩集から選んだベスト版。《紙は劣化する。時代が移り“文字の詩”が色褪せる前に、もう少し多くの方々に届くことを願って自選し、新たな本に託した》(「あとがき」より)。幕開けの詩は「盗みたい」。《心は盗めないから せめてもと/この詩に目を通している/あなたの束の間を 盗んでみるのです》。視覚的にも楽しい図形詩や、複数の登場人物の会話劇のような戯曲詩など、何度も反芻したくなるものばかり。

現代詩は言葉数も自由で、リズムや型を自分で作り出せる

 布袋寅泰や氷室京介、古くはシブがき隊などのヒット曲でも知られる人気作詞家森雪之丞さんの自選詩集『感情の配線』が出版された。

「ぼくは作詞家として48年目なんですけど、30年ほど前から、いわゆる現代詩を書くようになり、これまで5冊、詩集を上梓してきました。詩集ってどこの書店でも置かれるようなものではないし、なかなか伝わりにくい表現でもあります。だけど、インターネットでいろんな拡散の仕方をする時代になったこともあって、自分が作詞家ではなく小さな詩人として書いてきたものを1冊にすればいままで知らなかった人に届くかもしれないという気持ちで、70歳になるのを節目に出すことにしました」

 森さんが作詞作曲家としてデビューしたのは21歳のときだ。

「昔はみんな年上で先輩がいっぱいいらっしゃったんですけど、いまは気がつけば現場で自分がいちばん上、ということも多くなって。いちばん頼りにしていた高橋幸宏が亡くなり、先輩や同世代で亡くなる人も多くなりました。70歳という未知のジャングルに足を踏み入れるにあたって、気合を入れ直そうという気持ちがありました」

 ポップス、ロック、アニメソングの作詞だけでなく、ミュージカルや訳詞、詩、エッセイと、さまざまな分野で幅広い活動を続けてきた。

「基本は言葉で表現するということで、それは変わらないんですけど、自分のフィールドをどれだけ持てるかというのは結構、大事だったと思います。

 たとえば和歌短歌って、五七五七七という定型にあわせて言葉を削いでいくから、凝縮されたパワーと形が決まる気持ちの良さがありますよね。作詞も、メロディーがあって言葉をのせていくので、メロディー次第で言葉の切れるところが変わり、そういう意味では和歌短歌と変わらない部分がある。現代詩はそれに比べると、言葉数も自由で、リズムであるとか型であるとかを自分で作り出せる面白さがあるんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト