いきなり配置転換は無理
チームの勝ち頭がストッパーに転向した前例として、1976年に阪神から南海に移籍し、通算206勝、193セーブをあげた江夏豊氏は有名だ。巨人でも上原浩治氏が入団から8年間で先発として102勝をあげた後、9年目にストッパーに転向して32セーブの記録を残している。前出の巨人OBが指摘する。
「キャンプでは先発とリリーフでこなす練習メニューが違います。先発は間隔をあけながらブルペンで球数を投げるのに対し、リリーフは球数よりも毎日のように投げ込むことを優先する。いきなりリリーフに転向するのは無理がある」
阿部監督が腹を決めて抜擢できるかにかかっているとの指摘だ。巨人で投手コーチを務めた関本四十四氏はこう語る。
「菅野は100%スタート(先発)でいくと思います。1イニング限定なら15球程度しか投げないので、菅野ならストレートの球速を3キロぐらい速く投げられるでしょうが、先発で使って5回前後でダメだという試合が続き、ストッパーが誰もいなくなった時でないと可能性は低いでしょうね。本人が『じゃあ』と言わない限り、監督やコーチからも話を持っていけないでしょう」
早くも阿部監督は難局に直面している。
※週刊ポスト2024年3月1日号