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『不適切にもほどがある!』阿部サダヲの「コンプラ度外視」発言は「令和の新しい毒舌」、カタルシス効果で共感呼ぶ

表情豊かな阿部サダヲ(時事通信フォト)

表情豊かな阿部サダヲ(時事通信フォト)

 臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップする連載。今回は、ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)がもたらす「カタルシス効果」について。

 * * *
 セーフかアウトか、〇か×か、まるでコンプライアンス判定クイズのようなやり取りが展開されるTBS金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』。俳優の阿部サダヲ(53才)が昭和のダメおやじを演じるこのドラマは、ひょんなことから1986年に生きる体育教師の小川市郎(阿部)が2024年の現代へタイムスリップし、令和では”不適切”なコンプライアンス度外視の発言を炸裂させ、コンプラで縛られた令和の人々に考えるキッカケを与えていくというタイムスリップコメディーだ。

 それだけに昭和ネタ満載で、放送禁止用語も小気味がいいほど連発される。中でもクイズみたいだと思ったのは第4話、令和のテレビ局でカウンセラーとして働く市郎のもとに、懐メロを特集しようとしたが「コンプラ的にアウトな歌詞ばかり」と、仲里依紗(34才)演じるアシスタント・プロデューサー・犬島渚と山本耕史(47才)演じるプロデューサー・栗田一也が相談にくるというシーン。カラオケで次々に歌われていく昭和の歌詞は、セクハラ、パワハラ、モラハラ、DVにストーカーと、あれもこれもがコンプラ的にアウトなものばかりで、コンプラ意識についてのお勉強にもなる。

 ちなみに先日、ある総合リユース店に行き、CD売り場にいた若い店員に「懐メロはどこにありますか?」と尋ねたら、一瞬の間の後に「夏のメロディーですか?」と聞き返されて唖然とした。話を戻そう。

 筆者の友人たちの間でもこのドラマは話題だ。昭和世代の面々は一様に「あんなにひどくなかったよ」「あそこまでは言わないね」と昭和がデフォルメされた市郎に苦笑いしながらも、見終わると「なんだかスッキリ」するという。しかしハラスメントの塊のような市郎の言動は、今なら即炎上間違いなし。ウザくて面倒で不愉快になりそうだ。なのに見ている人をすっきりさせてしまうのは、阿部さんならでは演技力とキャラクターだろう。真面目で明るく一生懸命でいながらどこか力が抜けた柔らかいギャップのある演技と、目まぐるしく変わる表情の豊かさが、市郎の人間味を感じさせる。

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