米下院の公聴会でUAPについて証言した元空軍情報将校のグルーシュ氏(写真/AFP=時事)

米下院の公聴会でUAPについて証言した元空軍情報将校のグルーシュ氏(写真/AFP=時事)

ケネディとフルシチョフが情報共有?

 米国でUAP情報公開の機運が高まったのは、実は今回が初めてではない。前出・竹本氏が言う。

「1961年、大統領に就任したジョン・F・ケネディ氏も、情報公開に積極的な姿勢を見せていました。1962年にキューバ危機が起こると、UAP現象が偶発的衝突のリスクになり得ると判断。旧ソ連・フルシチョフ第一書記と情報共有する意向があったと伝えられています。ケネディ氏が国の総力を挙げてアポロ計画を推進したのも、地球外知的生命体の存在について、他国に先駆け謎を解明する強い意志の表われだったのではないか」

 1972年まで続いたアポロ計画では、後年、複数の宇宙飛行士によるUAP目撃情報が伝えられた。NASA(米航空宇宙局)との交信記録にも「月にはサンタクロースがいた」「奴らが我々を監視している」「また訪問者だよ……」といった宇宙飛行士の不可解な言葉が多数、残されている。

「アポロ計画の終了後、半世紀にわたり途絶えていた有人月面探査計画を再始動させたのも、UAP情報公開に前向きなトランプ氏でした。在任中の2017年12月、有人探査再開を命じる指示書に署名、本格始動した『アルテミス計画』は、2026年の有人月面着陸を目標に着々と進められています」(竹本氏)

 計画を主導するNASAは昨年9月、UAPの独立研究チーム設置を発表。元宇宙飛行士のビル・ネルソン長官は「たとえ(UAPが)地球外起源であっても、国民に情報公開する」と断言している。

後編に続く

※週刊ポスト2024年3月8・15日号

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