国内

公明党が“7つの創価学会ファミリー企業”に「政治資金10億円」を支出 資金使途「通信発送費」「購読料」は適切なのか

この「政治とカネ」は適切なのか?(山口那津男・公明党代表。写真/共同通信社)

この「政治とカネ」は適切なのか?(山口那津男・公明党代表。写真/共同通信社)

 自民党の裏金問題を機に「政治とカネ」に厳しい目が向けられるなか、連立を組む公明党の政治資金を徹底検証した。ノンフィクション作家・広野真嗣氏の調査から浮かび上がる事実とは──。【前後編の前編。後編を読む

 * * *
 JR新木場駅の正面に、「日本図書輸送株式会社」と壁面に大書されたビルが建っている。首都高湾岸線のインターにも近く、「N(日本)T(図書)y(輸送)」のロゴ入りの大型トラックが14~15台待機していた。運ぶのは創価学会の機関紙「聖教新聞」だ。在籍歴もある元学会本部職員がいう。

「創業は故・池田大作先生が第3代会長に就任した翌年の1961年。その後、創価学会の会員数は増え、聖教新聞の部数も右肩上がり。販売店網も会社の規模も、それとともに拡大したんです」

 NTyの売上高は88億円。学会と一体で成長した同社だが、得意先は学会……だけではない。実は公明党でもある──。

 私がそんな事実に辿り着いたきっかけは、現在の創価学会に批判的な古参学会員から届いた1通のメールだった。

「公明党の地元県本部の政治資金収支報告書を見て驚きました。日本図書輸送や(広告代理店の)東弘など学会と縁の深い企業への発注だけで県本部の経常費用の4割になる」

「創」や「公」の1字も入らない、特徴のない名前の会社が「学会系」とは、その筋の者でないと気づかない。直近の公明党本部の分厚い収支報告書を開くと、あちこちに「日本図書輸送」の記載。試しに1年分を拾っただけで、5億円をゆうに超えるではないか。

「ファミリー企業」──という言葉がよぎる。

 官邸主導が進む以前の永田町では、自民党の族議員が各省庁と結びついて道路や鉄道の建設を進め、官僚は公団やファミリー企業に天下り、ファミリー企業は族議員のパーティー券を買った。そんな政官財のトライアングルのなかで、公団が料金収入など公益性の高い資金をつながりの強いファミリー企業に落としていく構造が問題視され、改革の対象となった。

 1999年以降、民主党政権の一時期を除いて与党の一角を占める公明党は、集票マシンの創価学会とつながりの強い企業に、政治資金から多額の支出をしているのか。

 公明党の政治資金収支報告書によれば、党本部の収入は自民党の4割に相当する184億円。機関紙「公明新聞」の販売収入や党費が主体だが、29億円の政党交付金、つまり税金も含まれる。

 検証すべきはその使途である。私と本誌取材班は、党本部、東京都本部、37支部、そして都選出国会議員が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書3年分(2020~2022年)から、公明党の政治資金の支払われた先を集計。支出先には頻出する7つの企業がある。一体、どんな会社なのか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
「救急車と消防車、警官が来ていた…」遠野なぎこ、SNSが更新ストップでファンが心配「ポストが郵便物でパンパンに」自宅マンションで起きていた“異変”
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン