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【北陸新幹線・金沢~敦賀間開業】独自のそば文化が息づく“そば王国・福井”で「越前おろしそば」を味わう旅

福井県産玄そばを石臼で挽いて打つ「蕎麦 やすたけ」(福井市)の「あげ焼きおろし」。福井名物「竹田の油揚げ」、大根おろしが鎮座する

福井県産玄そばを石臼で挽いて打つ「蕎麦 やすたけ」(福井市)の「あげ焼きおろし」。福井名物「竹田の油揚げ」、大根おろしが鎮座する(撮影/太田真三)

 能登半島地震からの復興を願う気持ちを乗せて北陸新幹線が延伸開業した。福井県は2023年に「おいしいそば産地大賞」3連覇を果たすなど全国有数のそば産地。県民食でおいしい支援ができるとなれば、行かない手はない。

 北陸新幹線が金沢~敦賀間で延伸し、東京からアクセスしやすくなり、注目を集めている福井県。当地で「そば」と言えば、一般的に冷たい「おろしそば」を指す。

 その歴史は420年以上前に遡る。1601(慶長6)年、越前府中(現在の越前市)の領主となった本多富正が京から赴任する際にそば職人を伴い、城下の医者と相談して大根おろしの汁と一緒に食す方法を考案させたのが由来とされる。以降、郷土食として根付いていった。

「越前おろしそば」の名を全国に知らしめたのは1947(昭和22)年、昭和天皇が福井に行幸した際におろしそばを召し上がったことがきっかけだった。お気に召し、還幸後も折にふれて「あの越前のそばは……」と懐かしがられた言葉が由来になったとされる。

 その美味しさの秘密は、全国でも稀な「在来種の多さ(22系統)」と「石臼での挽きぐるみ」だ。挽きぐるみは、そばの香り成分が多く含まれる甘皮ごと挽く製法。県内すべての製粉所が石臼挽きを守り続けている。1877(明治10)年創業の「カガセイフン」(福井市)の6代目社長・加賀健太郎さん(43)が解説する。

左側は福井県産在来種の実で小粒が特徴的。右側は福井県外の改良品種の実で、収量性を高めるため粒が大きい

左側は福井県産在来種の実で小粒が特徴的。右側は福井県外の改良品種の実で、収量性を高めるため粒が大きい (撮影/太田真三)

39台の石臼で県産玄そばを製粉するカガセイフンの加賀社長

39台の石臼で県産玄そばを製粉するカガセイフンの加賀社長 (撮影/太田真三)

「福井県の在来種は小粒ですが、実が詰まっており、味が濃くて香りが強く、独特の甘味と旨味があります。機械は高速で挽くため熱が生じて風味が落ちますが、石臼挽きは低速のため奥深い風味を生み出すほか、粘りが出て食感もよくなります。工場では150年以上前の石臼も稼働しています」

 福井では戦国時代からそばが栽培されてきた。現代に入っても県全域で在来種を守り続け、減反政策に伴い作付面積が増えたことも追い風に“在来種王国”として君臨している。

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