だが、選挙の年だけ多くバラ撒いたほかの閣僚経験者たちは、「地道な政治活動」という理屈は通らないはずだ。
ちなみに岸田文雄・首相や二階俊博・元幹事長は総選挙の2021年の地元への寄附はゼロ。選挙に強い超大物はバラ撒かなくとも当選できるということか。
本誌の取材に多くの議員は「法令に従い適正に処理している」と回答したが、裏金事件では「これまでみんなやってきたから大丈夫だろう」と続けてきたキックバックが断罪された。選挙バラ撒きも同じ構図ではないか。政治資金研究の第一人者である岩井奉信・日本大学名誉教授が指摘する。
「選挙にあたっての寄附は公選法の問題。公選法では寄附の形式ではなく意味が問われ、買収の認識を持った寄附は違法とみなされる。政治資金収支報告書に記載しているからといって適正という免罪符にはならない」
調査によりほとんどの議員が選挙の時だけ多額のカネをバラ撒く実態が明らかになった。「適正」とみなす有権者がどれだけいるだろうか。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年4月12・19日号