新宿・歌舞伎町に並ぶホストクラブの看板(イメージ、時事通信フォト)
大学の入学式が終わり、新たに入ったスポーツ系サークルの先輩達との交流も始まったが、そのサークルにいた2学年上の男が中島さんを後に地獄へ突き落とす男・X(当時大学3年)だった。Xは金髪のミディアムヘアで、いかにも遊び慣れた大学生という出で立ちだったが、中島さんや新入生たちに気軽に声をかけ「何でも相談してほしい」とLINEを交換して回っていたという。その当時の印象は「チャラそうだけどリーダーシップがある」というものだったと、中島さんは振り返る。
「東京の生活は大変だから相談してと言われて、面倒見のいい先輩だと最初は思ったんですね。何回かサークルの会合で会ううちに、Xさんがアルバイトも紹介できると言い出しました。仕送りも少なく、自分の生活費くらいはアルバイトで捻出しようと考えていた私は、そのXさんの話にまんまと乗りました」(中島さん)
中島さんがXに「お金が必要」と打ち明けると、その瞬間から、Xによる怒涛の斡旋が始まった。
「稼げるのは夜、と言われましたが、18歳でお酒も飲めないし、ましてキャバクラやスナックで働くなんて考えられませんでした。でも、ガールズバーなら接客も適当でいいし、普通のバイトよりは稼げると言われました。流れに押されて結局、ガールズバーの面接に行くことになったんです」(中島さん)
当然、実家の親には内緒で始めたが、その後ろめたさもあってか、早く夜の世界に順応して金を稼ぎ、余裕ができたら普通のアルバイトに転職すれば良いと軽く考えていた中島さん。だが、それから一ヶ月もしないうちに、店で仲良くなった元キャバクラ嬢に誘われホストクラブへ遊びに行った。これが中島さんの運の尽きだった。
「ホストクラブに行くと、そこにいたホストがXさんだったんです。後から分かったことなんですが、実はXさんはホストの仕事もしていて、アルバイトを紹介した女性を、人を介してうまくホストに誘導させていました。私が店に入ると、いつもの調子で声をかけてきてくれましたが、私の横に全然知らないホスト・Yを座らせたんです」(中島さん)
ほとんど男性経験のなかった中島さんは、最初こそホストの立ち振る舞いに引き気味で、早く帰りたいとすら思っていたが、ホストのYは18歳の女子大生にもお構いなしに、どんどん酒を飲むよう煽ってきたという。
「Xさんから初回は5000円で何時間も飲み放題、と言われました。結局そのまま酔っ払ってしまい、私についたYにホテルへ連れていかれました。それからも、毎日マメにメッセージが来て、ものすごく褒めてくれたり、安心させてくれるようなことばかり言ってくれて、結局Yに恋愛感情を抱いてしまった。世間知らずで田舎者だったんです。ハマった自分の自業自得としか言いようがないんですが、経験の少ない新女子大生を狙う卑劣なやり方でした」(中島さん)