こども家庭庁が少子化対策の財源として徴収する「支援金」の所得別負担額を公表した4月9日、岸田文雄首相は日米首脳会談のために米国にいた(AFP=時事)

こども家庭庁が少子化対策の財源として徴収する「支援金」の所得別負担額を公表した4月9日、岸田文雄首相は日米首脳会談のために米国にいた(AFP=時事)

支援というなら普通に減税

 それにしても今回の「子ども・子育て支援金」に関してのやり口、筆者も本当に怒りを禁じ得ない。そもそも、嘘だったのだから。

 自身も子育て世帯、中堅出版社勤務の40代編集者もこう話す。

「支援というなら普通に減税してもらえればいい。年少扶養控除を復活させるとか、そのほうがよほどシンプルでしょう」

 財務省は絶対に一度手に入れた税収を手放したりはしない。減税しても、ちょうどその額できっちり別に徴収する。今回の「子ども・子育て支援金」も明らかにそうだ。

「あと、これまでもそうでしたが、この国の子育てに関する支援は複雑で、さまざまな業者や団体が入り込んでいます。そういう連中にお金を渡すための利権としか思えないです」

 増税と控除の撤廃が続き、この国の被雇用者は五公五民どころか六公四民ではという給与の半分近く、それ以上が税金と社会保険料で引かれている状態が起き始めている。

 筆者は昨年末『「使えるお金が減っている」昇給しても苦しい中間層世帯が生き残るために決断したこと』としてルポルタージュを書いたが、いわゆる「実質賃金」(収入に物価を加味した数字)が減っている。その上で今回の騙し討ちのような「子ども・子育て支援金」の「嘘」である。

 繰り返し書こう、岸田首相は2024年2月6日の衆院予算委員会でこう述べた。

〈拠出額は加入者1人あたり月平均500円弱〉

 まるで人頭税のようだが、それでも今回語っていただいた方々のように「この国の子どもたちの未来のためなら」と納得する人々が多かったように思う。少子化にどれだけ効果があるかはわからないが、みな何とかしようと思っている。その気持ちを、日本人の心を岸田首相は傷つけた。

 まさにみなさんおっしゃるとおりの「嘘つき」である。

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