二つの視点からの検証が必要

 そこで重要になるのが、今回の健康被害で「腎障害の症状が発現した人を比較する作業」だという。そこでは主に二つの視点からの検証が必要だ。

「一つはプベルル酸の毒性が強く出る体質があるのではないか、という視点。サプリを摂取した全員が腎毒性を発症したわけではない以上、影響を受けやすい体質がないか調べる必要がある。

 もう一つは、コレステロールを気にする方が飲む製品なので、併用薬やほかのサプリメントとの相互作用は検証すべきポイントです」

 また、今回の健康被害で見られた腎障害では、ほぼすべての患者に「ファンコニー症候群」が見られたと報じられている。

「腎臓で尿のもとから身体に必要な栄養などを再吸収する尿細管の機能が低下する病気で、全身の倦怠感や筋力低下などを伴います。遺伝や薬剤性などが指摘されており原因はよくわかっていませんが、今回の被害を紐解く上で重要な要素になります」

 日本腎臓学会はファンコニー症候群の発症が見られた患者のうち、4分の3ほどの患者がサプリの服用を中止したことで症状が改善したと報告。プベルル酸の影響は不明だが、「こうした患者の比較が極めて重要だ」と谷本医師は強調する。

 食品に分類されるサプリは医薬品のような“縛り”がないため手軽に摂取できる分、健康被害は広がりやすい。一刻も早い原因究明が待たれる。

※週刊ポスト2024年4月26日号

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