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欧州や中央アジアで大流行、日本でも感染拡大の「はしか」 治療薬はなくワクチンも不足 感染したら生涯免疫を獲得、まれに2回かかる人も

はしかの危険性とは(イラスト/いかわやすとし)

はしかの危険性とは(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身】欧州や中央アジアで、麻疹(はしか)が大流行、WHOの報告では2023年の45倍の感染が確認された。3月までの日本人感染者11人のうち、8人が国際線の機内で感染し、国内でも拡大中だ。はしかは感染力が強い上に治療薬がなく、対策はワクチンのみ。ただ感染やワクチン接種により、抗体を獲得しても抗体価が低い場合は感染の可能性もあるため、追加の接種が対策のカギなのだが……。

 はしかはヒトを宿主とするウイルスで、通常は人から人への感染しかしない。特に感染力が強く、しかも空気感染もするため、例えば体育の授業でクラス全員が換気の悪い体育館に集合した場合、その中に感染者が1人でもいれば、20分ほど一緒の空間にいただけで、免疫を持つ人以外の全員が感染してしまう。

 今のところ、治療薬はなく、予防対策はワクチン接種のみなので、ワクチンが登場する1972年以前は毎年のように大流行が起こっていた。

 現在、ヨーロッパや中央アジアを中心に爆発的に感染が広がっている。日本でもコロナ5類移行以降の活発な人の往来により、感染が徐々に拡大しつつある。

 フルタクリニック(長野県佐久市)の古田豪記院長に聞く。

「はしかは感染症5類です。ただし、インフルエンザやコロナのような検査キットがありません。検査はPCRを使用します。潜伏期間は10日で、この間は他人に感染しません。しかし、発症1日前になると他人に感染させてしまいます。発症後3~5日は鼻水や咳が出る風邪のような症状なので、初期でのはしかの確定診断は大変難しいのですが、その後、一度軽快してから発熱と発疹を生じます」

 発症後の特徴としては4~5日経つと目が赤い、目ヤニが出るなどの症状や頬粘膜に約1ミリの白っぽい斑点(コプリック斑)が出る。症状は高熱と発疹だが、感染者1000人に1人の割合で脳炎を発症し、肺炎も多い。さらに発症後、5~10年を経て10万人に1人の割合で亜急性硬化性全脳炎を発症してしまう。その場合、ゆっくりと脳の炎症が進み、神経症状が進行する。現在も治療法は確立されておらず、難病指定されている。

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