「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」にランクイン

「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」にランクイン

5年前に患った「がん」との闘い

 家族に支えられ、充実した人生を送っている宗田さんだが、5年前にはがんを患い生死をさまよったという。

「転倒して大腿骨を骨折し、手術を無事終えてまもなく退院、というタイミングでがんが見つかりました。一刻も早く手術をする必要がある状態でしたが、運良く、大変信頼できる医師のチームにかかり、緊急手術は成功。ところが、意識が回復するまでに10日ほどかかり、家族と医療スタッフの方々に心配をかけたそうです。僕自身はまったく覚えていないのですが(笑)」

 意識が戻ったときのエピソードがおもしろい。何度呼びかけても返事をせず、眠ったように目を閉じている宗田さんの耳元で、家族が坂本九の歌う『上を向いて歩こう』を流すと、突然、歌い始めたのだ。そして、「もぅ、うるさいな。これでいいんだろう」と言ったのだとか。しかし、闘病はまだ続いた。

「入院生活が6カ月目にかかる頃、体調が急変し、集中治療室に逆戻り。『今度こそダメだ』と家族は覚悟したそうです。でも、約2週間で復活しました(笑)。結局、入院生活は9カ月に及びました」

 執刀医をはじめ、宗田さんの命を救った医療チームには、宗田さんの本を読んで育った医師や看護師が何人もいたという。

「みんなが回復を喜んでくれました。本当に嬉しく、ありがたかったです。

 親世代になった昔の読者が、最近になって、『人生の節目に』と手紙をくれることがあります。また、『親から勧められた』という若い読者からメッセージをもらうことも多く、長生きしたから味わえた喜びだ、と思っています」

 2018年にスタートした「小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙」(主催:NPO法人こどもの本総選挙事務局)。『ぼくらの七日間戦争』は第1回に8位に、2022年の第2回に9位にランクイン。宗田さんの作品が世代を越えて読み継がれている。作品とともに、宗田さんのたくましい生き様も、今も多くの人を力づける──。

(了。第1回から読む

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