滝沢カレン──返答に窮する自分と同じ状況に相手を置く
それほど深い意味があって聞いているのではないだろうけれど、いざ投げかけられると返答に困る質問がある。
何の脈絡もなく、不意に放たれやすい「モテるでしょう?」という問いかけも、その一つだ。
「はい、モテますね」と答えても反感を買いそうなので、「いやいや……」と謙遜するのが無難だが、あまりにパターン化された反応で、何だか嘘っぽくなる気もしてしまう。
この「モテるでしょう?」への回答として、テレビ朝日系「オードリーと選の夜」(2021年9月27日放送)出演時に、明確なスタンスを打ち出しているのが、モデルの滝沢カレンだ。
その質問が来ると必ず、
《そちらこそ》
と返答。相手に「本当にこの会話をしたいのか」と暗に問いかけているのだという。
返答に窮する自分と同じ状況に、相手も置いてしまうという発想が面白い。「そんなこと初めて言われました!」とオーバーリアクションするのも白々しいし、「いえいえ、まったくモテません……」と謙遜するのも疲れたという人に、おすすめしたい神回答だ。5文字であしらうことで、省エネにもなるし。
同じ問いで返して、居心地の悪さを感じてもらえればベスト。何気ない問いかけが相手を困らせていると気づいてもらえれば、今後の“被害者”を減らすことにもつながる。
※コメント引用出典
大谷翔平:「【ノーカット動画も】大谷翔平 結婚公表で取材応じる 決め手は」NHK NEWS、2024年3月1日)
呂布カルマ:「『論破なんてしないほうがいい、幼稚なんですよ』ひろゆきを言い負かしたラッパー・呂布カルマ(40)が『空前の論破ブーム』に警鐘を鳴らす理由」文・神田桂一、文春オンライン、2023年5月17日/他のコメントも同出典
滝沢カレン:「『モテるでしょ?』と聞かれたときの正解は? 滝沢カレンの『切り返し』に視聴者共感」J-CASTニュース、2021年10月4日
【プロフィール】
真山知幸(まやま・ともゆき)
伝記作家、偉人研究家、名言収集家。1979年兵庫県生まれ。同志社大学卒。業界誌編集長を経て、2020年に独立して執筆業に専念。『偉人名言迷言事典』『逃げまくった文豪たち』『10分で世界が広がる 15人の偉人のおはなし』『賢者に学ぶ、「心が折れない」生き方』など著作多数。『ざんねんな偉人伝』『ざんねんな歴史人物』は累計20万部を突破し、ベストセラーとなっている。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義、宮崎大学公開講座などで講師活動も行う。最新刊は『「神回答」大全 人生のピンチを乗り切る著名人の最強アンサー100』。