今の十両は日大・日体大OBの実力者揃い

 素質がありながらケガに泣かされてきた尊富士だが、部屋関係者もケガの再発を心配しているという。ただ、所属する伊勢ヶ濱部屋には3月場所後、一時閉鎖となった宮城野部屋の力士たちが転籍してきて、それがプラスにはたらくのではないかと期待される面もあるという。若手親方が言う。

「尊富士も自覚があり、ケガをしない体づくりを目指している。そのため趣味が『筋トレ』と公言するほどですが、プロの世界では四股とテッポウで柔らかい筋肉をつけるのが鉄則。筋トレはご法度とされる世界ですが、部屋の先輩からのアドバイスがありながら、1日中部屋の地下室にあるトレーニングルームに入り浸っていた。それが宮城野部屋との合流でトレーニングルームまで力士で溢れかえっているという。これで少しは筋トレの時間が減り、四股やテッポウに目が向くようになるのではないか」

 災い転じて福となすかはこれからだが、十両転落後に試練が待つとみられている。今の十両力士には日大の先輩が多数いる。幕内から転落した遠藤と大奄美をはじめ、英乃海、紫雷、對馬洋の日大勢に加え、ライバルの日体大出身である白熊、阿武剋、妙義龍、朝紅龍がいる。ケガからの復活の途上にある三役経験者・若隆景も控えている。前出・若手親方が言う。

「先場所の幕尻優勝は挑戦者的な立場だったので、受ける側にもプレッシャーがあったはず。復帰後の十両の土俵では、今度は尊富士が受ける側になる。簡単には勝てないのではないか」

 尊富士には茨の道が待ち受けているようだが、初優勝の翌場所に初日から休場した曙と吉葉山の2人は、ともに横綱に昇進している。

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