ライフ

脚の切断もある「包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)」でも血液の浄化で改善の道が拓く

CLTIの補助治療として吸着型血液浄化器レオカーナが登場(イラスト/いかわやすとし)

CLTIの補助治療として吸着型血液浄化器レオカーナが登場(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身】下肢閉塞性動脈疾患の最重症な病態が、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)だ。創傷や潰瘍、壊死、神経障害などを生じ、血行再建治療でも症状が改善しないことも。そこでCLTIの補助治療として吸着型血液浄化器レオカーナが登場した。これは血液を体外に出し、血中のLDLコレステロールとフィブリノーゲンなどを吸着させ、再び体内に戻すことで、創傷治癒率の向上を促す。

 脚の血管の狭窄や閉塞による下肢閉塞性動脈疾患は動脈硬化や糖尿病、慢性腎疾患などの増加に伴い、患者数が増加傾向にある。

 主な症状は安静時の脚の痛みや間欠性跛行(歩くと足が痛くなり、休むと歩ける)などで、治療は血管拡張やステント留置、バイパス手術などを実施し、血流を確保しながら症状を緩和させる。しかし、最重症のCLTIでは血行再建をしても効果が得られにくいケースが多い。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院・足の疾患センターの田中里佳教授に聞いた。

「CLTIでは血管の内側が石灰化して硬くなるため、血管拡張やステント留置、バイパス手術が難しくなり、血流の改善が見込めない患者さんがいます。そうなると虚血になり、創傷や潰瘍、壊死を起こしてしまい、最悪の場合は脚の切断を余儀なくされる症例も少なくありません。そこで動脈硬化の原因であるLDLコレステロールやフィブリノーゲンなどを吸着し、体内に戻す吸着型血液浄化器レオカーナが開発されました」

 レオカーナは透析と同じような仕組みだ。一度、血液を体外に出して、浄化器内に設置された特殊なシートでLDLコレステロールとフィブリノーゲンなどを吸着し、浄化された血液を体内に戻す。

 下肢の末梢血管は赤血球1個がようやく通るくらいの細さのため、LDLやフィブリノーゲンなどの血漿成分は引っ掛かりやすく、その先で虚血を起こしやすい。これらをレオカーナで除去し、血液をサラサラにすることにより、末梢血管にも血流が再開通するようになるわけだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト