元外交官で作家の佐藤優氏
そうして中東情勢がさらに緊迫化するリスクが高まるなか、日本政府はどう動くべきか。岸田政権の特徴は、中東の問題もウクライナの問題も、遠く離れたところの話にはオーバーコミットしないところにある。関与を薄めた結果、イスラエルからもイランからも恨まれない結果をもたらしている。現状はそれでいい。
むしろ煽情的なメディアの影響などで、日本政府がイスラエルを強く非難するような展開になれば、イスラエルが態度をより硬化させて世界的な危機が深刻化する懸念がある。日本政府は、日本国民の生命・身体・財産を守るために、「東アジアの平和」を最大の外交目標として行動すべきだ。
【プロフィール】
佐藤優(さとう・まさる)/1960年、東京都生まれ。同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。在露日本国大使館などを経て外務省国際情報局に勤務。現在は作家として活動。主著に『国家の罠─外務省のラスプーチンと呼ばれて』などがある。
※週刊ポスト2024年6月7・14日号
今回の墜落事故が今後どう影響するか(時事通信フォト)

