福井市中心部は路面電車区間ながらも、かつては一般の鉄道と同じサイズの車両が走っていた(2009年6月撮影:小川裕夫)

福井市中心部は路面電車区間ながらも、かつては一般の鉄道と同じサイズの車両が走っていた(2009年6月撮影:小川裕夫)

資材高騰、運転士不足などの問題に協同で取り組む

「このほど発足した福井県鉄道協会は、福井を地盤とするハピラインふくいと福井鉄道、えちぜん鉄道の3社が資材を共同購入するなどの目的から設立しました。昨今、資材費が高騰しており、それらは鉄道会社の経営を圧迫する要因になっています。資材を共同購入することで資材単価を下げることができ、経費削減につながります。また、運転士の採用などをスムーズにする狙いもあります」と説明するのは、福井県鉄道協会の事務局を務めるハピラインふくいの総務企画部の担当者だ。

 福井県では、2016年から福井鉄道とえちぜん鉄道が田原町駅を境に相互乗り入れを実施。このような異なる鉄道会社間での相互乗り入れは、東京や大阪といった大都市圏では当たり前の光景になっている。しかし、地方都市で異なる鉄道会社による相互乗り入れは少ない。

 こうした鉄道会社の垣根を越えた連携が福井県では取り組まれてきたが、北陸新幹線の延伸によって新たにハピラインふくいが誕生し、改めて3社による協力体制を築く機運につながっている。

「ハピラインふくいが誕生した3月には3社共通で使用できるきっぷの販売をしましたし、誘客キャンペーンなども3社合同で実施しています。そうした利用促進の目的もさることながら、同協会における当面の課題はなんと言っても運転士不足を解消するための採用面です。これを機に改善する取り組みを加速させていきたいと考えています」(同)

 働き方改革により、鉄道・バスといった交通業界では運転士不足が問題化している。運転士がいなければ、当然ながら列車を走らせることはできない。その影響から、鉄道事業者はそれまでのダイヤを組めず、各社は減便で対応している。しかし、それも限界に近づきつつある。

 福井県鉄道協会の3社のうち、特に福井鉄道の運転士不足は深刻だ。その理由は福井鉄道の特殊な事情が背景にある。

 福井鉄道は市内中心部が軌道線と呼ばれる路面電車で、郊外は通常の鉄道として運行されている。路面電車区間を運転するには乙種電気車運転免許が、鉄道区間を運転するには甲種電気車運転免許が必要になる。つまり、2つの免許がなければ福井鉄道の運転士になれない。

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