清水国明氏と安野貴博氏による合同街頭演説会の様子(2024年6月撮影:小川裕夫)

清水国明氏と安野貴博氏による合同街頭演説会の様子(2024年6月撮影:小川裕夫)

 今回の都知事選で清水は主要候補として扱われなかったが、これまでの活動を見れば決してタレント活動の延長線として出馬したわけではないことがわかる。実際、告示日前に政治団体を立ち上げているが、その設立集会には茨城県常総市の神達岳志市長が公務の合間を縫って駆けつけている。ありきたりなタレント候補であれば、こういうときに駆け付けるのは、候補者とは別の有名タレントや担ぎ出した政党幹部だろう。だが、清水の政治への挑戦が始まる場面に、地方の市長が駆け付けたのだ。

 常総市は2015年に豪雨によって鬼怒川が決壊し、甚大な浸水被害を出した。清水は、常総市の水害でも復興支援をしている。さらに、選挙期間中に能登半島地震の発災から半年を迎えたというニュースに接し、自身の選挙活動を中断。異例とも言える、選挙期間中に東京を離れて能登へと向かった。

 筆者は国政選挙・地方選挙を問わず、多くの選挙を取材してきた。それら選挙にはタレント候補と呼ばれる人も少なからずいた。タレント候補は政治に対して不真面目だろうという漠然としたイメジージがあるかもしれない。だが実際には、どの候補者も選挙に出るからには確固たる政治理念があり、理想の社会像がある。それを無視して、「芸能人のくせに」と一様に批判することはできない。

政策を闘わせるのではなく意見交換する合同演説会

 都知事選の投開票日まであと一週間というタイミングで、なぜ清水は選挙区である東京を離れたのか?

 選挙には、候補者を押し上げようと多くの支援者が関わっている。選挙戦の途中で能登へと向かいたくても候補者だけの判断で動くことはできない。スタッフから「選挙が終わってから行けばいいじゃないか」という意見が出ても不思議ではない。しかし、清水の支援者たちは選挙期間中に能登へと向かうことに理解を示した。通常の選挙活動では、あり得ない。

 これだけでも異例だが、清水は対立候補と協力・連携・共闘することも厭わない。今回の地知事選では、同じく非主要候補として扱われた安野貴博氏との合同街頭演説会を6月26日に柴又駅前で実施。合同演説会では互いの政策や政治理念を戦わせるのではなく、お互いの力を持ち寄って意見交換するという場になった。2台の選挙カーが並び、清水と安野がそれぞれ車上に立った。マイクを持って穏やかに課題解決について意見を交わす両者の様子は、ありそうでなかった不思議な光景だった。そこで清水は、いまの選挙活動の主要なあり方に疑問を提示してもいる。

「(報じられる主要4候補の討論会を見ると、他の候補者と)バトルしないとテレビが取り上げてくれないのかなと思って、ちょっとやってみたけれど……。そんなことのためにわれわれは立候補したわけじゃない。ひとえに都民の皆様の命を守るためです」と意図を語っている。

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