ライフ

ラーメン店での「イヤホン論争」の無駄な盛り上がりに何を学ぶか

イメージカット

細かな注文確認が口頭で行なわれることも(イメージカット)

 正しい振る舞いを正しく認識することは案外難しいものである。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 何を「当たり前のマナー」と感じるかは、人それぞれ。そして人間は、誰かから「あなたがやっているその行為はマナー違反だよ」と指摘されると、反射的に激しい反発を覚える習性があります。ムキになって自分を正当化しようともします。

 それがどんなに常識的な内容でも、素直に受け止めて「ありがとうございます。勉強になりました」と感謝できる人は多くありません。「すべての場面で当てはまるわけじゃない」と苦しい反論を並べたり、教えた側の言い方に文句を付けてきたり……。知らなかったことや気付かなかったことよりも、そっちのほうがよっぽどみっともないのに。

 たしかに「当たり前」や「常識」は、人によってさまざまです。しかし、それを言い出したらキリがありません。私たちは日常生活の個々の場面において、ひとりひとりが「多くの人が不快と感じないであろうやり方」を模索し合って、何となくの共通認識を「当たり前のマナー」としています。

 このところ激しい論争となっているのが、ラーメン店での「イヤホン」をめぐる論争。きっかけは6月下旬に人気ラーメン店の店主がSNSに、店内でイヤホンをつけるのをやめてほしいと問題提起をしたことでした。

 お客さんにラーメンのお好みを尋ねても聞こえてなかったり、ラーメンを出すときに声をかけても聞こえてないから受け取ってくれなかったりするというのが、その理由。イヤホンをつけて動画を見ながらラーメンを食べているので、店の回転が悪くなるとも。

 お店としては、お客さんが聞こえていないと、聞き直したり身振り手振りで知らせたりしなければならなりません。並んでいるお客さんがいると、心の中で「食べ終わったんなら、早く席をあけてくれないかな。言ったほうがいいかな……」と激しく悩まされそうです。それが日々繰り返されるのは、さぞ大きなストレスでしょう。

問題提起に対する反応から見えてくる世の中や人間の「多様性」

 この投稿はたちまちネット上で大きな話題になり、同業者から共感と応援の声が寄せられたり、テレビのワイドショーで取り上げられたりもしました。おそらく、この「イヤホン論争」を知ったほとんどの人は、「ああ、そりゃお店に迷惑だな。人と話をする必要があるときには、イヤホンを外すのが当然のマナーだよね」と感じたことでしょう。

 しかし、それを「当然のマナー」と受け止める人ばかりではないのが、世の中や人間の「多様性」です。そして、自分では思いもよらない意見が頼みもしないのに可視化されるのが、ネット社会のありがたくも厄介な特性です。

「客がどんなふうにラーメンを食べようと自由だ」(食べる前の段階で、店員さんの話をちゃんと聞いてほしいという話なのに)

「店側の都合を押しつけるな」(ほかのお客さんの迷惑も少しは想像しろって話なのに)

関連記事

トピックス

元KAT-TUNの亀梨和也との関係でも注目される田中みな実
《亀梨和也との交際の行方は…》田中みな実(38)が美脚パンツスタイルで“高級スーパー爆買い”の昼下がり 「紙袋3袋の食材」は誰と?
NEWSポストセブン
5月6日、ニューメキシコ州で麻薬取締局と地区連邦検事局が数百万錠のフェンタニル錠剤と400万ドルを押収したとボンディ司法長官(右)が発表した(EPA=時事)
《衝撃報道》合成麻薬「フェンタニル」が名古屋を拠点にアメリカに密輸か 日本でも薬物汚染広がる可能性、中毒者の目撃情報も飛び交う
NEWSポストセブン
警察官になったら何をしたい?(写真提供/イメージマート)
警察官を志望する人の目的意識が変化? 「悪者を倒したい」ではなく安定した公務員を求める傾向、「事件現場に出たくない」人も 
NEWSポストセブン
カトパンこと加藤綾子アナ
《慶應卒イケメン2代目の会社で“陳列を強制”か》加藤綾子アナ『ロピア』社長夫人として2年半ぶりテレビ復帰明けで“思わぬ逆風”
NEWSポストセブン
2人の間にはあるトラブルが起きていた
《2人で滑れて幸せだった》SNS更新続ける浅田真央と2週間沈黙を貫いた村上佳菜子…“断絶”報道も「姉であり親友であり尊敬する人」への想い
NEWSポストセブン
ピンク色のシンプルなTシャツに黒のパンツ、足元はスニーカーというラフな格好
高岡早紀(52)夜の港区で見せた圧巻のすっぴん美肌 衰え知らずの美貌を支える「2時間の鬼トレーニング」とは
NEWSポストセブン
事務所も契約解除となったチュ・ハンニョン(時事通信フォト)
明日花キララとの“バックハグ密会”発覚でグループ脱退&契約解除となった韓国男性アイドルの悲哀 韓国で漂う「当然の流れ」という空気
週刊ポスト
かつて人気絶頂だった英コメディアン、ラッセル・ブランド被告(本人のインスタグラムより)
〈私はセックス中毒者だったがレイプ犯ではない〉ホテルで強姦、無理やりキス、トイレ連れ込み…英・大物コメディアンの「性加害訴訟」《テレビ局女性スタッフらが告発》
NEWSポストセブン
お笑いトリオ「ジャングルポケット」の元メンバー・斉藤慎二。9ヶ月ぶりにメディアに口を開いた
【休養前よりも太ってしまった】元ジャンポケ斉藤慎二を独占直撃「自分と関わるとマイナスになる…」「休みが長かった」など本音を吐露
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《TOKIO解散後の生活》国分太一「後輩と割り勘」「レシート一枚から保管」の節約志向 活動休止後も安泰の“5億円豪邸”
NEWSポストセブン
中山美穂さんをスカウトした所属事務所「ビッグアップル」創設社長の山中則男氏が思いを綴る
《中山美穂さん14歳時の「スケジュール帳」を発見》“芸能界の父”が激白 一夜にしてトップアイドルとなった「1985年の手帳」に直筆で記された家族メモ
NEWSポストセブン
STARTO ENTERTAINMENTの取締役CMOを退任することがわかった井ノ原快彦
《STARTO社取締役を退任》井ノ原快彦、国分太一の“コンプラ違反”に悲しみ…ジャニー喜多川氏の「家族葬」では一緒に司会
NEWSポストセブン