スポーツ

大阪桐蔭「最強世代」以来の夏優勝を阻んだ下関国際「伝説のトリプルプレー」 ショートからマウンドに上がった仲井慎の回想

準々決勝で敗れて涙を見せた2022年の大阪桐蔭ナイン(手前が西谷浩一監督)

準々決勝で敗れて涙を見せた2022年の大阪桐蔭ナイン(手前が西谷浩一監督)

 大会2日目の甲子園は、第1試合で強豪・大阪桐蔭(大阪)と興南(沖縄)が対戦する。根尾昂(現・中日)や藤原恭大(現・千葉ロッテ)らを擁して「最強世代」と呼ばれた2018年以来、夏の全国制覇から遠ざかっている大阪桐蔭の戦績に注目が集まるなか、2022年に喫した「劇的な敗北」を当事者が振り返った。ノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。

 * * *
全国制覇は春夏あわせて9度を数え、高校野球に一強時代を築く大阪桐蔭ほど、勝利よりも敗北が大きく報じられる学校はない。歴代最多となる69勝を挙げている西谷浩一監督は、聖地にて14敗を喫しているが、勝つ時は豪快に、敗れる時には劇的に──そんな印象さえある。

記憶に鮮明なのは2年前(2022年)の夏、準々決勝で激突した下関国際(山口)戦だろう。

「僕らはベスト8に進出した2018年の下関国際を見て、入学して来た世代でした。入学した直後から、先輩を超えることを目標に過ごしてきました」

そう振り返るのは、下関国際で遊撃手兼投手として活躍した仲井慎だ。彼らが3年生になろうかという2022年春、センバツで優勝したのが、松尾汐恩(現・横浜DeNA)が主将を務め、2年生の前田悠伍(現・福岡ソフトバンク)が事実上のエースだった大阪桐蔭だった。

「春の日本一でしたから、チームのミーティングでも、『大阪桐蔭に勝つためには何が必要なのか』ということをずっと話していました。大阪桐蔭のような常連校に勝てなければ、ベスト4以上の景色を見ることはできない。だから春以降はずっと大阪桐蔭の動画を見て、どんな野球をやってくるのか頭に入れ、あらゆる対策を体に染みこませていました。大阪桐蔭のように打って抑えて美しく勝つという野球に対して、うちは泥臭く、形にこだわらずに点を奪っていくしかなかった。夏を迎えるうえで、どこの学校よりも練習したっていう自負はありましたね」

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《大谷翔平が“帰宅報告”投稿》真美子さん「娘のベビーカーを押して夫の試合観戦」…愛娘を抱いて夫婦を見守る「絶対的な味方」の存在
NEWSポストセブン
令和最強のグラビア女王・えなこ
令和最強のグラビア女王・えなこ 「表紙掲載」と「次の目標」への思いを語る
NEWSポストセブン
“地中海の楽園”マルタで公務員がコカインを使用していたことが発覚した(右の写真はサンプルです)
公務員のコカイン動画が大炎上…ワーホリ解禁の“地中海の楽園”マルタで蔓延する「ドラッグ地獄」の実態「ハードドラッグも規制がゆるい」
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さん、撮り下ろしグラビアに挑戦「撮られることにも慣れてきたような気がします」、今後は執筆業に注力「この夏は色んなことを体験して、これから書く文章にも活かしたいです」
週刊ポスト
強制送還のためニノイ・アキノ国際空港に移送された渡辺優樹、小島智信両容疑者を乗せて飛行機の下に向かう車両(2023年撮影、時事通信フォト)
【ルフィの一味は実は反目し合っていた】広域強盗事件の裁判で明かされた「本当の関係」 日本の実行役に報酬を支払わなかったとのエピソードも
NEWSポストセブン
イセ食品グループ創業者で元会長の伊勢彦信氏
《小室圭さんに私の裁判弁護を依頼します》眞子さんの“後見人”イセ食品元会長が告白、夫妻のアパートで食事した際に気になった「夫としての資質」
週刊ポスト
ブラジルの元バスケットボール選手が殺人未遂の疑いで逮捕された(SNSより、左は削除済み)
《35秒で61回殴打》ブラジル・元プロバスケ選手がエレベーターで恋人女性を絶え間なく殴り続け、顔面変形の大ケガを負わせる【防犯カメラが捉えた一部始終】
NEWSポストセブン
連続強盗の指示役とみられる今村磨人(左)、藤田聖也(右)両容疑者。移送前、フィリピン・マニラ首都圏のビクタン収容所[フィリピン法務省提供](AFP=時事)
《ルフィ事件》「腕を切り落とせ」恐怖の制裁証言も…「藤田は今村のビジネスを全部奪おうとしていた」「小島は組織のナンバー2だった」指示役らの裁判での“攻防戦”
NEWSポストセブン
モンゴルを公式訪問された天皇皇后両陛下(2025年7月12日、撮影/横田紋子)
《麗しのロイヤルブルー》雅子さま、ファッションで示した現地への“敬意” 専門家が絶賛「ロイヤルファミリーとしての矜持を感じた」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
ツアーに本格復帰しているものの…(左から小林夢果、川崎春花、阿部未悠/時事通信フォト)
《トリプルボギー不倫》川崎春花、小林夢果、阿部未悠のプロ3人にゴルフの成績で “明暗” 「禊を済ませた川崎が苦戦しているのに…」の声も
週刊ポスト
三原じゅん子氏に浮上した暴力団関係者との交遊疑惑(写真/共同通信社)
《党内からも退陣要求噴出》窮地の石破首相が恐れる閣僚スキャンダル 三原じゅん子・こども政策担当相に暴力団関係者との“交遊疑惑”発覚
週刊ポスト
山本アナは2016年にTBSに入局。現在は『報道特集』のメインキャスターを務める(TBSホームページより)
【「報道特集」での発言を直撃取材】TBS山本恵里伽アナが見せた“異変” 記者の間では「神対応の人」と話題
NEWSポストセブン