スポーツ

【競馬の猛暑対策】馬とジョッキー、体温を下げつつ暑さへのなれも必要 カギは「温度差」の克服

馬とジョッキーの暑さ対策について蛯名正義氏が解説

馬とジョッキーの暑さ対策について蛯名正義氏が解説

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、馬とジョッキーの暑さ対策についてお届けする。

 * * *
 夏場の調教は気温が上がる前に終わるよう、いつもより早くから乗り始めます。レースの後と同じように、調教の後もとにかく体温を下げることに気を使います。夏用の薄い馬服を冷たい水に入れておきそれを馬に掛けたり、馬体に水を掛けたり、各厩舎でいろいろな工夫をして、できるだけ早く平常体温に戻すことを心掛けています。

 前号で水分の摂り方について少しお話をしましたが、いつでも水を飲めるようにし、体の内側から整えていくようにします。上がった体温を早く下げて平熱に戻し、しっかり飼い葉を食べさせるような状態にしていきたいものです。

 また馬にとって快適な状態で休息することも大切だと思っています。競馬場の馬房にはエアコンや扇風機が稼働していることがほとんどです。しかしトレセンの厩舎ではエアコンを設置していないところがほとんどだと思います。

 施設の設備の問題もありますが、暑熱順化という観点から悩ましいところでもあります。よりよい環境で良い休息をとることはもちろんそれは必要なのですが、一方で屋外の炎天下で競馬をするわけで、暑さにもなれなきゃいけないというところもある。やっぱりある程度、レースをする時の温度にも慣れておかないといけない。

 最近ではパドックでミストを流したりしていますね。ミストの効果はその周辺の気温を少し低くするものです。レース前の馬場内の待避所にもミストがありますが、あの手この手の「炎暑対策」も、これ以上何ができるのだろうというところまできている印象です。

 これだけ暑いとジョッキーも熱中症の心配があります。騎乗時の体重が決まっているので、暑さ対策だからといって水分ばかり取るわけにはいきません。逆のケースもあって、例えば朝のレースは53キロで乗ったけれど、そこで汗もかいて減ってしまうことがある。じゃあ食べるかといっても、なかなか喉を通らないこともある。そういう時は小さいおにぎりとかバナナとか、本当に早く吸収できそうなものを食べます。マラソンの人たちと一緒ですよね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
男気を発揮している松岡昌宏
《国分騒動に新展開》日テレが急転、怒りの松岡昌宏に謝罪 反感や逆風を避けるための対応か、臨床心理士が注目した“情報の発信者”
NEWSポストセブン
水原受刑者のドラマ化が決定した
《水原一平ドラマ化》決定した“ワイスピ監督”はインスタに「大谷応援投稿の過去」…大谷翔平サイドが恐れる「実名での映像化」と「日本配信の可能性」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
熊本県警本部(写真左:時事通信)と林信彦容疑者(53)が勤めていた幼稚園(写真右)
《親族が悲嘆「もう耐えられないんです」》女児へのわいせつ行為で逮捕のベテラン保育士・林信彦容疑者(53)は“2児の父”だった
NEWSポストセブン
リクルート社内の“不正”を告発した社員は解雇後、SNS上で誹謗中傷がやまない状況に
リクルートの“サクラ行為”内部告発者がSNSで誹謗中傷の被害 嫌がらせ投稿の発信源を情報開示した結果は“リクルートが契約する電話番号” 同社の責任が問われる可能性を弁護士が解説
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン