今年は7月末と8月最初の4日間、新潟では正午から3時ごろまで「中休み」がありましたよね。メインレースの後に5つもレースがあることで、メンタルを整えるのが大変だと思っていましたが、フィジカルにも気を使っていたようです。中休みの間、一度筋肉が冷えてしまうわけで、それをまた元に戻すのが難しかったのではないでしょうか。
しかも、比較的斤量が重いメインのオープンクラスの後に、軽めの3歳未勝利戦が組まれていたりしました。5レースまでしか乗らない、6レース以降しか乗らないというのならいいけれど(笑)、そうはいかないですよね。ここでの課題を踏まえて来年以降どうするかですね。
ジョッキーの心身の調整については、中休みがない時季でも同じことです。騎乗の間隔が空いた時の心身のオン・オフは悩みどころです。1回「よしっ、行くぞ!」と自分を鼓舞してレースに臨んだ後1回切って、もう1回上げるというのはなかなか難しいと思います。騎乗機会の多いトップ・ジョッキーはこういう切り替えも上手です。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。この連載をベースにした小学館新書『調教師になったトップ・ジョッキー~2500勝騎手がたどりついた「競馬の真実」』が発売中。
※週刊ポスト2024年8月16・23日号