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【全文公開】沢田研二、桂ざこばさんと育んだ友情 「還暦を超えてから親友に」「飲み明かした横浜の夜」…哀悼秘話

沢田研二

沢田研二が桂ざこばさんと育んだ友情 

 60才を越えてから、新たに親友と呼べる存在に出会える人がどれだけいるだろうか。特別な関係はどのように築かれて、どう終わりを告げたのか。“危険なふたり”の知られざる物語──。

 歌手の沢田研二(76才)が2008年に作った曲『TOMO=DACHI』。この曲は、沢田が落語家の桂ざこばさん(享年76)との友情をテーマに作った1曲だ。沢田とざこばさんが友情を育んだのは共に還暦を迎えてからだった。だが、別れは突然訪れた。6月12日にざこばさんが喘息のため急逝した。親友を失った沢田は悲嘆に暮れている。

 1967年にザ・タイガースの一員としてレコードデビューした沢田は、グループ解散後も色気あふれるソロシンガーとして活躍した。沢田より1才年上のざこばさんは、1963年に上方落語の「四天王」のひとり、桂米朝さんに弟子入り。だが、ブレークしたのは1975年、ワイドショー『テレビ三面記事 ウィークエンダー』(日本テレビ系)でのリポーター出演がきっかけだった。

 世の珍事件を関西弁でリポートする姿が人気を博し、やがて落語家としても注目されるように。感情が高ぶると高座で涙を見せる実直な芸風が落語ファンに愛され、上方お笑い大賞(1992年、2003年)、芸術選奨文部科学大臣賞(2017年)など数々の賞を受賞した。

 そんな2人の人生が最初に交わったのは、1986年の『新春かくし芸大会』(フジテレビ系)。当時大人気だった新春番組での共演だった。

「『龍馬がくる』という寸劇で、坂本龍馬が桂小五郎に会いに行くという設定でした。沢田さんが演じた龍馬がふすまを開けるとそこにざこば師匠がいて、“桂違い”になるというオチで(笑い)。

 当時2人は人気絶頂の多忙な時期で、顔を合わせたのはわずかな時間。親密にはなりえなかった。まさかその後、時間をあけて再会して親友になるなんて、そのときは2人とも想像すらしていなかったのではないでしょうか」(当時を知るテレビ局関係者)

 それから約20年後、2人をつないだのは、ざこばさんの次女で女優の関口まい(41才)だった。沢田と2007年の舞台で共演したのが縁で、関口が沢田にざこばさんを再び引き合わせたのだ。

「本音を炸裂させるタイプの沢田さんは、お世辞にも人づきあいがうまいとは言えません。だからこそ、ざっくばらんとして飾らず、“大阪のおっちゃん”そのものだったざこばさんとウマが合ったのでしょう。2人はすっかり意気投合しました」(前出・沢田の知人)

「ジュリーの番号が携帯に入っている」

 両者の距離がさらに近づいたのが、大阪で暮らすざこばさんの「横浜遠征」だった。2008年2月、急に休みが取れたざこばさんは横浜に住む沢田に電話し、「遊びに行っても、よろしおまっしゃろか」と尋ねた。沢田が「どうぞ来てください」と答え、翌日にざこばさんが新幹線で新横浜駅に到着すると、驚きの光景が待っていた。

「新幹線を降りたざこば師匠を、沢田さんと妻の田中裕子さんが駅のホームで待っていたんです。スター夫婦の丁寧なおもてなしに人情家の師匠はすっかり感激して、沢田さんのことがますます好きになった。食事の場では、師匠のマシンガントークに沢田さん夫妻はずっと大爆笑。時間が過ぎるのを忘れて、その夜は何軒もハシゴ。最後は、ざこば師匠が泊まるホテルのラウンジでもお酒を楽しんだそうです」(落語関係者)

 横浜の夜から3か月後に完成したのが、冒頭の『TOMO=DACHI』だった。歌詞にも2人の関係が描かれており、2人は60才で最高の「友達」になった。

「還暦を迎えてから家族ぐるみで仲よくできる“ダチ”ができたことを、ざこば師匠はとても喜んでいたそうです。周囲に“おれはあのジュリーと友達なんだ”と自慢して回ったこともあった。沢田さんが大阪でライブをやるときは必ず足を運んでいましたし、高座で最初に観客の心を引き寄せる“まくら”では、沢田さんのネタを話すことも珍しくありませんでした」(前出・落語関係者)

 在阪テレビ局関係者は、こんなエピソードを話す。

「あるとき、ざこば師匠が自分の携帯電話を紛失したんです。すると師匠は“ジュリーの番号が携帯に入っている。迷惑かけたらどないしよ”と、ほかの有名人の番号には構わず、沢田さんのことばかり心配していました」

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