上に置かれた苔を取り除くと確かに遺骨が確認できる
求められる「時代に即したルール作り」
今回の問題には行き違いも多く見られた。昨年末の議会でのやり取りで述べられた「町側の認識」だ。墓埋法違反であれば許可を取るよう促す、町がそう言ってから現場を訪れたのは今年6月になってからだった。現場を訪れた担当課長が「埋葬ではない」と判断しているが、議会で発言した当時の担当課長とは違い、別の担当課長が現場を視察している。黙雷和尚は以前からトラブルを想定してか、2003年から県や厚労省関係者と折衝を重ね、当時の日記に担当者の実名や担当部局などを書き留めていたという。
「(2007年当時、墓埋法を管理していた)県から申請の必要はないと聞いていた方法ですが、町が現場を見ずに違法と断罪したことに怒りはあります。町からは最初に断罪したことに対する謝罪もありません」(黙雷和尚)
町の見解を拡散した報道も誤解を生むきっかけとなった。当初は墓埋法違反の可能性を示唆した報道だったが、6月に町が「埋葬ではなさそうだ」と判断をした直後の7月になると、遺骨がむき出しになった映像を住民トラブルとして報じている。宗教法人は2007年に移住してきたこともあって、古くからの地元住民との顕在化しない軋轢があったことも考えられる。あるいは散骨する遺骨の大きさが住民感情を刺激した可能性もある。
墓埋法が施行されたのが1948年ということもあり、墓じまいが進み、自然葬への考え方が変わりつつある現代とは考え方に大きなズレがある。とはいえ違法でないからといって周囲に配慮しないやり方をすれば新たなトラブルが生じかねない。墓埋法や厚労省のガイドラインを含め再考の時代が来ている。