国内

【令和の小泉劇場へ】進次郞氏を待ち受ける“権力闘争の修羅場” 総選挙に勝つために「首相経験者への引退勧告」「裏金議員に刺客擁立」など大胆な戦略も

小泉進次郎氏が総裁選で勝つためには何が必要か(時事通信フォト)

小泉進次郎氏が総裁選で勝つためには何が必要か(時事通信フォト)

 過去最多となる候補者が名乗りを上げ、例を見ない大混戦になるとみられる自民党総裁選。小泉進次郎氏が有力候補に浮上した背後には、やはり「父」である小泉純一郎・元首相の存在があった。3回目の総裁選出馬で「自民党をぶっ壊す」と宣言し、本命だった橋本龍太郎・元首相を党員票で圧倒して勝利した純一郎氏。その政治家としての資質は、進次郎氏に受け継がれているのだろうか。【全3回の第3回。第1回から読む

常道を超えた判断

 小泉純一郎氏の政治家としての真価は、首相に就任してからより強く発揮されたと言ってもいい。

 2003年総選挙では、自民党の比例代表の「終身1位」を保障されていた中曽根康弘・元首相と定年制の例外とされていた宮沢喜一・元首相を強引に引退させることで「世代交代」を印象付け、2005年の郵政解散では、「政治生命を懸ける」と自ら推進した郵政民営化法案が自民党内の造反により参院で否決されると、衆院を解散、造反議員に刺客候補を立てて“粛清”する冷酷さを見せた。

 山崎拓・元自民党副総裁氏が語る。

「これは憲政の常道を超えた判断ですよ。郵政民営化法案が否決されたのは参院で、衆院では可決されている。しかし、参院の解散は憲法で認められていないからと衆院解散に打って出た。亀井静氏などは『憲法上できるわけがない』と猛烈に反対したが、それでも踏み切った。

 この判断、決断、実行力は凄いとしか言いようがない。しかも、反対した自民党議員を公認しないで刺客候補まで立てるという前代未聞のやり方で、反対派の多くを落選させた。大胆不敵な政治決断を取れるのが、小泉の凄味だった」

 郵政造反組の1人で、刺客を立てられて出馬を断念した熊代昭彦・元自民党代議士もこう振り返る。

「参院は解散できないから、衆院解散で国民に問うというアイデアは天晴れとしか言いようがない。刺客まで立てたのはやり過ぎだと思うが、今は総理大臣としての小泉氏を評価している」

 こうした国民に芝居を見せるような純一郎氏の政治手法は「劇場型政治」と呼ばれ、この選挙で自民党は300近い議席を得て大勝する。

 純一郎氏に進次郎出馬容認を求めた中川秀直・元官房長官は当時、自民党国対委員長として郵政民営化法案成立の一翼を担い、森喜朗・元首相はこの選挙で「自民党は国家・国民のためになることならば、必要な改革を思い切って実行できる党だ」と訴えて清和会を自民党最大派閥に押し上げ、“キングメーカー”と呼ばれるようになった。

 息子の進次郎氏に期待を託すのも、父の政治家としての資質、何をやるかわからない大胆さを受け継いでいると感じているからだろう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン